大空少女。

□14話目
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ベルside_







「ふぁぁぁあ……」




あー、眠ィ……

昨日は晴れ戦で、帰ってそっこー寝た


最近王子寝不足なんだよね

やば、欠伸が止まんないわ




「あ、おはようベル」

「はよ、マーモンじゃん」




角を曲がると、そこには同僚のマーモン

いつも通りマーモンは俺の腕の中にすっぽり

もう定位置だよな




「今日はまた眠そうだね」

「最近寝不足なんだよ」

「いい薬があるよ?」

「……どうせ金とんだろ?」

「当たり前じゃないか」

「金の亡者」

「誉め言葉ありがとう」

「…そういえばさ、今俺たちは当たり前の如くメインルーム向かってっけどさ、朝飯あんの?」

「………ルッスーリア、怪我してたね」

「さすがにあれで朝飯作れねーだろ」




ヴァリアーの家事はほとんどルッスーリア任せ

メイドとか雇っても、役に立たなくてクビか、俺たち(ほとんどボスだけど)の逆鱗に触れて殺られちまうからすぐいなくなる

だから雇ってないわけ




「どうすっかな……」

「外に食べにいくしかないね」

「だっりー。……ん?」




また寿司を食いに行くか迷ってると、めちゃ旨そうな匂いがしてきた

俺は腕の中のマーモンと顔を見合わせ、足早にメインルームに向かう


ドアを開ければ、そこには大量の料理

和風から中華、洋風まである

あ、寿司まで発見!




「旨そー…!!」

「でも一体誰が作ったんだい?」


「あ、私です」


「うおう!!!」




いきなり声がして思わず飛び上がる

後ろを振り向けば桃子がいた

……やばい、かっこ悪ぃけど分からなかった




「気配消して立つなよな…」

「ゴメン、癖でね」

「でも何で桃子がいるんだい?帰ったハズだよ」

「いや、ルッスーリアの看病してたら遅くなっちゃって泊まらせてもらったんです」

「あぁ。でもなんで飯まで作ってくれてんの?俺ら一応敵だぜ?」




あ、自分で言っててなんか悲しい




「私もお腹空いてたからついでだよ!」

「ふーん…。あ、腹減ってるから食っていい?」

「どうぞ!でも食べて食中毒なって血吐いても知らないよ?」

「なんか例えがリアルだな!!?」




そっから桃子はボスとか先輩起こしに行った

一瞬止めようか迷ったけど、桃子だから大丈夫だろって思い直した


テーブルには人数分食器が並べられてて、桃子の配慮の良さが伺える




「んじゃいただきー」




まず近くにあったフカッチェを手に取ってみる


……臭いと見た目は大丈夫だな



「何してるんだい、ベル?」

「だってあんなコト言われたら気にするだろ」

「口ではあぁ言ってるけど、桃子の料理の腕は三ツ星レストランのコック長並かそれ以上だよ」

「マジかよ!!?」




それを聞いてそっこー口に放り込む

たしかにこんなに見た目綺麗なんだから腐ってるワケねーよな




「!めちゃ旨いじゃん、これ!!!」

「だから言っただろう?」




レストラン行くより旨い

なに、ヴァリアーにガチで来てほしいんだけど



前桃崎が

『このケーキ綺羅が作ったのぉ、食べて…くれるよねぇ、ベルぅ…?』

って言った時は冗談抜きにサボテンにしそうになった(先輩に止められてなかったらしてた)

てかあれはただの炭だろ

あれを王子に食わそうとするとか………思い出しただけで吐きそう




「あ、もしかして口に合わなかったかな…?」

「!桃子、だから気配消すなって」

「あはは、ゴメン、やっぱり慣れない場所じゃ無意識みたい。
てかそれより渋い顔してたけど、やっぱり不味かったかな…?」

「いや違うって!!ちょっと思い出したくねーもん思い出しちまってさ。それに桃子の作ってくれた飯、めちゃ旨いから」

「そう?ありがとう!」




なんでこんなに可愛いんだろ




「ほら、XANXUS兄さんたちも座って!せっかく作ったんだから食べてよね!」

「あぁ」「もちろんだぞぉ!!」




久しぶりに朝飯が騒がしい






















キミがいるだけで、

(こんなにも日常が変わるんだね)









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