大空少女。

□9話目
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「ひっ、ッ!」

「「ッ!」」




兄さんの凄まじい殺気を当てられてツナは尻餅をついて、武たちは動けないみたい

仕方ないと言えば仕方ないか

さすが兄さんあって、その殺気は鋭くて息が苦しくなるくらい

殺気に慣れてる私でも背筋がひんやりした


兄さんは全く変わってなかった

あの目つきの悪い顔

少し崩して着てる服

燃えるように赤い瞳

すべてを支配するような存在感

全部、全部変わってない





「沢田綱吉…」

「「!!」」

「まさかボス、いきなりアレを…!?」

「俺達まで殺す気か?!」

「やべーぞ、逃げろ…!!」

「え?!」





兄さんの手が独特な光を帯びていくを見て、私はフルーレを腰から抜いて崖に突き刺す

それを踏み台にして、一気に崖の上まで跳躍した

私のフルーレをなめんなよ

こんなんじゃ折れないからな

私はツナを守るのが任務だから、ここで憤怒の炎をぶっぱなされたら困る


スーツの袖をはためかせながら、兄さんの前に着地

ここで初めて兄さんの赤い瞳と視線が絡まった

兄さんの瞳が大きく見開かれる

それと同じように手の光もだんだんと鈍いものに

その手と反対側の手に私の掌を重ねる

正直、銃をぶっぱなされないかヒヤヒヤしたけど、私の中の超直感が大丈夫だって教えてくれた

兄さんの手は思っていた以上に温かい





「!桃子か……?」

「久しぶりだね、兄さん。…いや、おはようが正しいのかな」

「お前は……まだ囚われてやがんのか」

「兄さんの手は、あったかいね」

「……るせェ」


「ヴァリアー、そこまでだ」


「!びっくりした」





ちょうど、ベルフェゴールとマーモンさんの目の前に工事で使う道具?が突き刺さる

それが投げられた方向を見ると、作業着を着た父さんがいた

いつのまに日本に来たんだろう

スーツの方がしまるから、着てほしいって何回も言ってるのになあ


ヴァリアーの面々は、父さんを認識した瞬間すごく睨んでる

漫画だったらきっと父さんとヴァリアーの間にはバチバチ火花を散らしてるんだろう





「た、助かったの…?」

「ここからは俺が取り仕切らせてもらう」

「父さん!!?」

「な"っ、10代目の、ってことは御二方のお父様?!」


「家光…!」

「て、てめえ何しに!?」

「…XANXUS、お前の部下は門外顧問であるこの俺に剣を向けるのか」

「…」


「この2人なんて殺気だ、ッ!」

「と、父さん、何言ってんの…?!」





笹川先輩の言うとおり、さっきの比じゃないぐらい殺気ビリビリ

遠くにいるツナたちでさえ少し顔をしかめてる

さっきも思ったけど、普通の人間だったらもう泡吹いて倒れてるだろうから、皆才能はあるのかな


それから、父さんはスクアーロたち文句を的確に返して、ツナに門外顧問のこと、リングやボスのことを全て説明した

ツナはとても驚いてるみたい

当たり前だよね


そして父さんはおじいちゃんからの勅命を取り出した

たしかにあのオレンジの炎は紛れもなくおじいちゃんのだ





「なんて書いてあるの?!」

「あ、イタリア語か。要約したらこんな感じかな、ボンゴレ公認、守護者同士の1対1のガチンコ勝負して決めろってことだよ」

「ガチンコ勝負?!」

「うん、あとは指示を待てって書いてるけど、」

「指示スか?」


「「お待たせしました」」


「「!!」」





声がした方から顔が一緒の2人の女が2人飛び出してきた

見るからに怪しい





「今回のリングでは我々が審判をつとめます
我々は9代目直属のチェルベッロ機関の者です。リング争奪戦において我々の決定は9代目の決定だと思ってください」

「おじい……9代目の勅命は?」

「直属である私達には必要ありません」

「なら9代目との面会を。私もまだ今は9代目直属の筈だ」

「ただいま9代目は誰との面会を望んでおりません」

「!大人しく下手にでてりゃ、」

「抑えろ桃子。現在勅命があるんだ、我々は指示に従う必要がある」

「父さん…、…ごめん、ついカッとなった」

「本来、跡継ぎの式典の際に、9代目と門外顧問の2人が認めた7名に2組のリングを合体させた完全なるボンゴレリングの状態で継承されるものなのです。ですが今回は異例の事態になってしまいました
2人がふさわしいと考える7名が食い違い、それぞれが違う人物にリングを配ったのです
そこで真にリングがふさわしいのはどちらなのか命をかけて証明してもらいます。場所は深夜の並盛中学校、詳しくは追って説明いたします」

「え、並中でやんの?!」

「それでは明晩11時、並盛中でお待ちしています」






そう言ったと同時にチェルベッロとかいう女たちは闇に消えてた

追えないことはないだろうけど、どうせ結果も何も変わらないだろうからやめた

言いたいことだけ言って帰っていったあの女達にはムカつくけど


そして慌てだしたツナに、兄さんが一睨みする

そしたらツナは腰を抜かして後退りし始めた

情けないなあ、全く





「…帰るぞ」

「ししっ、りょーかい」

「はぁい」



「…う"お"ぉい、桃子、」

「?なあに、スクアーロ」

「お前はちょっと来い」

「「?!」」

「な"っ…」

「いけません桃子さん!!」

「ちなみにご要件は?」

「ちょっと話したいだけだぁ」

「…なるべく早く帰ってこい」

「!はい!」

「!何言ってんだよ、リボーン!!!」

「アイツなら大丈夫だ」





リボーンさんの言葉を聞いて、差し出してくれたスクアーロの手をとった

少し先でこっちを振り返ってた兄さんと目が合う

後ろからの突き刺さる視線は気づかないフリをした







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