大空少女。

□6話目
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殴りかかってきた雲雀くんを、軽いステップで避ける

普通の人ならそのまま体勢を崩すんだろうけど雲雀くんは空ぶった方と反対のトンファーでまた殴りかかってくる

報告書通り他の守護者達より群を抜いた戦闘力だなあ

でも、この前スクアーロとやったばっかりの私からしたら止まって見えるんだ、ごめん

右に避けてまたその手を思いっきり前に引きながら、私は右足を踏み込んで思いっきりお腹に膝蹴りをお見舞いしてやる

雲雀くんは受け身を取ろうとしたらしく直撃は免れてたけど、口の端には赤い血が一筋見れた




「やるね、キミ・・・」

「ありがとー」

「赤ん坊みたいに僕をゾクゾクさせる…!!」




ちょっと引きそうになった私は悪くない

けれど、一方的で、私の闘いを見たいわけでもなく、ただ相手を潰したいだけ

そのわりに、私にとってはただ子犬が戯れてるだけにしか感じない

楽しくない

楽しくない




「私は楽しくないなあ。…だからもう終わり」

「どうい、!」




雲雀くんは話そうとした

いや私の剣で話せないのか


私は雲雀くんの背後に周り、2本のフルーレを雲雀くんのちょうど喉元でクロスさせるようにする

私が軽く抱きしめてる様にも見えるかな





「動いたら首を跳ね飛ばすから」





少し殺気を込めてみる

すると雲雀くんの首筋に汗が伝っていくのが見えた





「そろそろやめてやれ、桃子」

「はーい」





苦笑しながらこっちに歩いてきたディーノの言葉に、私は大人しくフルーレを仕舞う

殺気を隠したら、雲雀くんは今まで息を止めてたみたいで大きく深呼吸してた





「・・・キミ、ホントに何者?」

「ただの私はディーノの同僚だって!」

「あんな負け方気に入らないね」

「さっきも言ったけど、私が楽しくなかったから。もっと楽しみたいなら、私も楽しませてくれないと」

「…名前は?」

「沢田桃子だよ」

「沢田…?…もしかしてあの草食動物の家族か何かかい?」

「草食動物…?」

「ツナのことだぜ」

「そうだよ、私は沢田綱吉の双子の姉」

「どうやったらあんなのの姉さんがこんなに強くなるんだろうね」

「ふふ、草食動物だって本能があるんだ。舐めてたらいつか噛み付かれるよ?」

「信じられないな」

「ツナは私の弟だ、あの子は私以上になる。・・・じゃあ私は帰るね、約束通りちゃんとディーノの話聞くんだよ」





精神的に疲れたから帰って風呂入って寝ようかな

そういえば、まだ母さんに会ってない

はやく会いに帰ろう




「あぁ、ありがとうな!ゆっくり休めよ」

「こちらこそありがと、ディーノ」

「おぉ!」





ディーノにお礼を言い、私はフェンスの上に飛び乗る

あ、言い忘れてた

振り返れば、雲雀くんもこっちを見てた







「雲雀くん!」

「?」

「付け加え!雲雀くんは私なんかより強くなるだろうけど、まだ経験とか基礎とかが足りないだけ。…だからディーノに教えてもらって?そしたらもっと、もっと強くなれる、これこそきっと今が比じゃないぐらいね!私、応援してるから!」

「・・・そしたらまた勝負してくれるかい?」




なんだか必死そうな顔をしてる雲雀くん

想像してなかった姿だったからつい笑みがこぼれる

孤高の風紀委員長も、ただの強さを求める人間だ

強くなったら、怖いなあ





「ふふ、いいよ、雲雀くんが強くなったらまたやろうか!」

「!楽しみにしててよね」

「うん、楽しみにしてるよ!じゃあね!」





雲の守護者としてこれほど相応しい人はいない

すごく安心する

私はフェンスから飛び降り、真っ逆さまに運動場に落ちていく

あぁ風が気持ちいい












tuo sorriso
優しい微笑み

(恭弥、顔が赤いぜ?)
(・・・アナタもね。もしかしてロリコン?)
(ばっ…!!ちげェよ!!)



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