大空少女。
□1話目
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「………さ……きて……」
「ん…?」
「桃子様起きてください、もうすぐジャッポーネですよ」
「…夢、か……」
「桃子様?」
「いや何でもない!起こしてくれてありがとう、助かったよ!」
「いえ、お気になさらず。では失礼しますね」
綺麗にお辞儀してから出て行った父さんの部下さん
私は日本までの景色が好きなのに、よく寝ちゃうから起こすよう頼んでたんだった
若干乱れた髪を整えながら先程見た夢について考える
さっき見た夢は私の小さい頃
今では顔も名前もどこで会ったかでさえ覚えてないけど、よく遊んでて大好きだった男の子と将来を誓ったあの頃の私
忘れないって約束したのに、忘れてしまっている私をあの頃の私が見たらきっと怒るんだろうな
それくらいその時の私は幸せだったのかたまにこの夢を見てしまう
最近見てなかったから久しぶりに見たなあ
今私はボンゴレ私有のジェットで日本に向かってる
忙しかったから数年ぶりの日本だ
9代…こう呼んだら怒るんだった
。おじいちゃんが久しぶりの休暇と任務を兼ねて日本に行かせてくれた
「母さんにツナは元気かな……?」
最後に会ったのは小学校の低学年だった筈の双子の弟と、笑顔が可愛い母さんに想いを馳せる
脱獄した骸たちを捕まえたっていう報告本部にいた私の耳にも入っていた
ゆっくりでも、ボスに近づいていってる
昔会ったことのある骸が捕まえられてしまったのは正直のところ心情微妙だったけど、同時にツナの成長ぶりに嬉しさがこみ上げてきた
写真なんかじゃなくて早く会いたい
私は窓の外を眺めた
早く会いたくて
(ツナもこの空を見てるのかな…)