D家の妹さん

□10章目
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「じゃあ1回通すよ!」




さきの一声でノリやすそうな音楽が流れだす

そしてその音楽に合わせて学ランを身に纏っているさきとサスケを先頭に並んで踊り始める

順調に進んでいき、歌もサビに入ろうとした時だった

さきたちの後ろでなにかが倒れる音がした

その音を聞いた瞬間、さきとサスケの額に血管が浮き上がる




「…先生、音楽ストップで」

「はーい」

「…ナルト…?」

「ひっ…!わっ、ワザとじゃないんだってばよっ…!!」

「ワザとだったらとっくに殴ってる」




さきの冷たい声に、ナルトはへたと座り込み、思わず後退りする

そう、ナルトはここの部分のダンスができない

普通に手拍子だけなら普通にできるのだが、歌になると全くで、ナルトがいるとこれ以上先に進まないのだ




「お前は何回失敗しやがんだウスラトンカチが…!!」

「う"っ…」




いつものナルトならスゴイ勢いで反論するのだが、今回だけはさすがに何も言えないようだ




「はぁ…、今日はこれで終わろうか。3時間ぶっ通しだったし、」




そう、さきたちは約1週間後にある体育祭に向け、放課後応援パフォーマンスの練習をしていたのだ

さきは暗くなった空を窓越しに見つめながら解散命令を出す




「やっと終わったー!」

「さすがにキツいわね……」

「帰りファミレス寄ろうぜ」

「俺、一楽がいいってばよ!!」




さきは楽しそうにシカマルたちと話しているナルトの首根っこを掴む




「うおっ?!」

「言い忘れてたけど、ナルト以外ね?ナルトは残ってダンスの特訓」

「はぁぁぁあ??!!」

「なに?皆の足引っ張っといて帰るの?私たちに迷惑たくさんかけといて帰るの?帰っちゃうの?ねぇキミ何様なわけ?」

「すいませんでしたっ!!喜んで居残りするってばよ!!!」




ナルトはさきの黒すぎるオーラに即負け、スゴイスピードで身体を90°に曲げる




「なら仕方ねェな、ナルト」

「また今度行きましょうね、ナルトくん!!」

「さよなら」




そんなナルトを苦笑気味に見ながら、男子メンバーは帰って行く

しかし女子はといえば、さきに詰め寄っていた




「ちょっとさき!!2人きりになるならナルトなんかじゃなくてサスケくんにして!!そしたら私たち、ずっとどこかで見てるから!!」

「いやサスケはダンスも全部完璧だから残る必要なんてないよ。てかなに地味に危ないオーラ出してんの。あとハァハァ言わないで、サクラ」

「あぁ、夜の教室にサスケくんとさき!想像するだけでいろいろ美味しいわ!!」

「カカシ先生もいるからね?てか絶対ならないから安心して。…ほら暗くなってきたから帰りなよ、サクラやいのは可愛いんだからどっかの変態に襲われる可能性もあるんだから」

「「…」」

「どうしたの?」

「「…さきっ!!//」」

「うわっ、」




さきの言葉に顔がスゴイ勢いで赤くなり一瞬固まったサクラたちだったが、次の瞬間さきに抱きついていた




「やっぱりさきはカッコよすぎるわよ…!!//」

「さきになら抱かれても文句言わないわ、私!!//」

「いきなりどうしたの?てか私が困るからね、いの?」




それからさきはなんとか2人を抑え、2人を出口に連れ行き別れを告げる




「ふぅ…、」

「(…さき、その天然発言止めないと本気で襲われちゃうよ?)」




カカシは1人、心の中でさきに問いかける




「あれ?サスケは帰らないの?」




先程まで出口にいた筈のさきは、いつのまにかサスケが座っている教卓の前にいた




「どうしたの?帰らないの?」

「…お前は残るのか?」

「え、うん。カカシ先生は頼りにならないし、ナルト1人なら絶対脱走するし」

「酷くない、さき?俺ってそんなに頼りないの?」


「自意識過剰ですよ、先生」

「自意識過剰じゃ済まされないヨ」

「……俺も残ってやろうか?」

「「は?」」




いきなりのサスケの爆弾発言で、カカシとさきは目を見開く

そんなさきたちに、サスケは顔を少し赤らめながら付け足す




「いやっ、お前が心配だとかじゃなくてだな、そのっ、あれだ…!俺も一応団長だから、こういうのをさき1人に任せるのも俺的には性に合わないんだっ…!」

「(あらまぁ)」




カカシはサスケのあからさまな態度に、ある1つの結論に行き着くが、さきは全く気づいていないようで、首を傾げている




「?いいよ、私が言い出した事なんだし。それにサスケには大好きな兄さんがお家で待ってるでしょ?早く帰ってあげなくちゃ!」

「な"っ…!!…もういい!俺は帰るからな!!」

「?ばいばーい」




サスケはいつものさきの天然発言に先程以上顔を赤らめながら、急ぎ足で教室を出て行く

そしてさきはまた首を傾げる

それを見たカカシは、サスケが哀れでしょうがない




「カカシ先生、サスケお腹でも痛かったのかな?」

「いやきっと心が痛かったんだヨ」

「心?」

「さきはまだ知らなくていーの」








天然記念物

(あれ?そういえばナルトはどーしたの?)
(…あっ!!)





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