D家の妹さん
□4章目
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「ごめん、遅れたっ…!!」
放課後、さきはあるファミレスに勢いよく入った
中にいた2人の女子は肩を震わせたが、入ってきたのがさきだと分かると安心したように息を吐き、さきに話しかける
「まっ、また不良に絡まれてたの、さきちゃん…?」
「相変わらずお疲れさま」
上から、大人しそうなどこか儚げな少女、日向ヒナタと
左右でお団子結びをしている気の強そうな少女、テンテンである
ヒナタとテンテンも鳴門高校だが、さきとは2人共違うクラスである
そう、3人はこのファミレスで働いているのだ
3人はここで働くまで名前も知らない程だった
(さき以外はサボり魔としてさきの事を知っていたが、)
このファミレスで3人が働き始めたのも偶然だったのだ
初めはギクシャクしていたものの、だんだん心を開いていき今ではとても仲は良い
「今日は不良っていっても、私を慕ってくれてる不良たち。なんかストーキングされて、撒いてきたから遅くなったんだ」
「ストーキング?!」
「だっ、大丈夫…?」
「うん、ありがとー」
控え室でさきはここのファミレスの制服のようなものに着替えながらヒナタたちの話を聞く
シャラララン
すると店の扉が開く音がした
「お客さん来たみたいね!」
「ぁ、掃除もしてないから私いくよ」
ちょうど着替え終えたさきが行こうとしたテンテンを制止、控え室を出て行く
このファミレスの控え室は少し出入口と離れており、ちょうど出入口からは死角に存在するためお客さんの顔などはまだ分からない
しかし徐々に近づくにつれて声が聞こえきた
「おい飛段、本当にいるんだろうな?」
「おぉ!ペインが金髪の可愛い女子がいるって言ってたんだよ!」
「サソリ、もしいなければアイツを潰せばいいだけの話だ」
「そうだなイタチ」
「本当に奢りなんだろうな、飛段?」
「そうだぜ角都。……デイダラがな!」
「ちょっと待てよ、うん?!オイラも被害者だろ?!オイラはさき以外の女子に興味がないって何回言わせたら分かんだ、うん!!」
「それを言っちゃあ俺もだ、デイダラ」
「(…)」
姿を見ずとも分かる
さきは、まるで逆再生ボタンを押したように控え室に戻っていく
「(なんで兄さんとサソリがいるの?!それもお友達たくさんいるし!!
てかペインって誰だよ!?うちに金髪の可愛い女子なんかいないよ!?今度会えたら絶対殴る…!!)」
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「(ゾクゥゥッ」
「?どうかしたの、ペイン?」
「いや、よく分からないがスゴく寒気が…」
「風邪なの?」
「分からない。だがなぜかスゴく泣きそうだ」
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金髪の可愛い女子とは自分の事と分からないさきはやはりバカだろう
そして先程出たばかりの控え室の扉を勢いよく開ける
「どっ、どうしたの…?」
「にっ兄さんたちが…!!」
「噂のさきの兄さんとお友達さんが来たの?!あの美形で有名な?!」
「有名かどうかは知らないけど、とにかくそうだよ!」
「さきちゃんのお兄さんならっ、私、挨拶しに行かないと…」
そう言って控え室を出て行こうとするヒナタをさきは慌てて止める
「お願いだからやめて…!!私、バイトしてるの兄さんに言ってないんだ…」
「えぇ?!」
「だからバレたら困る。帰りたい」
「帰らしてあげたいけど今日に限って火曜日だからねぇ…」
そう、このファミレスは火曜日だけの限定メニューがあり、火曜日には客の数がとても多いのだ
いつもならほかにも仲間がいるのだが、今日に限って3人しかおらず、2人に負担をかけさせる事もできないのでさきは帰ることができない
『おい!案内とかはまだなのか、うん!?』
出入口の方からデイダラらしき声が聞こえてくる
とりあえず私がいくよ、と言ってテンテンが行ってくれた
「どうしよ、ヒナタ…!!」
「えっと…!変装、してみたら…?」
「それだァァァァア!!!」
戸惑いながら言うヒナタに、さきは感動する
そして急いで自分のロッカー(別名、四次元ロッカー)の元へと走る
そしてロッカーを漁り、顔を隠せるものがあればスグに顔につけていった
…変装していくさきを見ていたヒナタの顔がだんだん強張っていくのなんか知りません
「これでよしっ!!」
ガチャンッ
「2人とも、そろそろお願i うわぁぁ!!」
2人を呼びにきたテンテンがさきの方を見た瞬間叫んだ
理由は簡単だ
さきの変装姿がいろいろ怖いのである
頭にはバンダナ、サングラスとパーティー用の髭とマスクをつけ、普通に見たらいろいろ痛い人である
「ぇ、さき…?」
「うんそう。バレるの嫌だって言ったらヒナタが変装したら?って言うから…」
「いや、それじゃあただの痛い人だから外して。私が貸してあげるから」
「ぁマジ?ありがと、テンテン!」
「そのまま出られたらここの評判落ちるからね」
「まさかのその理由?」
テンテンは自分のロッカーから黒髪のカツラと茶色のカラコンを取り出し、さきに渡す
「私とヒナタは先にお店出るから、つけ終わったら早く出てきてね」
「りょーかいっ!」
テンテンはヒナタの手を引き控え室を出て行った
さきはすぐつけ始めた