連れ出しませう?

□17話目
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アナタside_




「はッ、はぁ…!!!!」






私は樹海の中にいた

そして少し開いた所でまだ丈夫そうな木を選んで、それにサッカーボールを思いっきり蹴る

そして跳ね返ったボールをまた蹴って、…それを何度繰り返しただろう

一体何本折っただろう

ただ今はボールを蹴っていたかった

普段は出ない汗も、今だけは滝のように出てくる






「なんッ、なんだよ…っ!!!!!」






樹海は私的に好きだ

皆は嫌いだと言うけれど、ここにいると落ち着く

暗いけどそれが余計にいい


だからか、私は何かあると無意識にここに来て、ただひたすらボールに撃ち込む






「私に情なんてもんは……ねェッ!!!!!」




バキバキバキィッ




また1本折れた

倒れていく様は、まるであの時の私みたいに弱々しかった






「…はぁ、はぁッ…!!」






なぜ私はあの時あぁ言った

いつもみたいにウザイと振り払えば良かったじゃないか

いつもみたいに冷たく接すれば良かったじゃないか



今思えば疑問が多すぎる

何故レーゼが負けた時泣いた?

何故ジェミニストームを助けた?

何故レーゼをジェネシスに入れた?


何故私はさっき笑った?


分からない分からない

自分の気持ちのハズなのに全く分からない

まるで心だけ誰かのモノみたいだ



……そういえば真・帝国に兄さんたちいたよな

あの時はさすがに驚いたな…

おじさんのコトだから、きっと帝国の禁断の技を使わせるんだろうな

誰よりもサッカーを愛しているおじさん

口ではあぁだけど、きっともう後戻りができないだけなんだ


でもそれ以前に、私はその時どうするんだろう

憐れんで、嘲笑する?

何も思わない?

…それとも、






「ロディー!!」

「!バーンか…」

「父さんからの伝言だ!《真・帝国へ向かいなさい、試合です。グランは現地にいます》だってさ!」

「今日だったか…。…分かった今行く」

「おぉ!」

「でもどうしてここが分かったんだ?」

「父さんがたぶんココだろうって言ったからよ……」

「!そうか」












思わずほくそ笑む

(どうやら父さんにはお見通しのようだな)






それとも、
レーゼの時みたいに心が痛むのか?






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