連れ出しませう?

□13話目
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アナタside_





着いたのは見た事もない部屋だった


何もなくて薄暗くて、嫌いな部屋だ




「皆いる?」


「…なッ、なんで…!!?」


「レーゼ?」




薄暗い中でも分かるぐらい明るい黄緑の髪が私の腕を掴む


少し強いため、思わず顔をしかめる




「なんでココに来たんだよッ、ココに来たらロディーまで………!!!」




レーゼの続けようとした言葉なら分かる


だから私は安心させるように頭を優しく撫でた




「ぇ…」


「…大丈夫、私は大丈夫だから。レーゼたちも追放なんてさせないから」


「!!」




少し頬が緩んだのが分かる


暗くて見えないだろうが、きちんと笑えているだろうか




「じゃあお前等はココで少し待ってろよ」


「わっ、」




私はレーゼの腕を掴み、胸にあるサッカーボールのネックレスを強く押す


すると辺りが真っ白になって、次の瞬間見覚えのある和室に視界が変わった


そこに父さんは1人、獅子落としがある庭を見ながらお茶を啜ってた


まるで私たちが来るのを分かってたみたいだ




「――ロディーですか。ずいぶん勝手な事をしてくれたようですね」


「…父さん、お願いがあって参りました。その事の説明についてもなりますのでどうぞお聞きください」


「なんですか?」


「ジェミニストームの追放を無しにしてください」


「!」


「アナタが頭を下げるとは…。その理由が聞きたいものですね」


「ジェミニストームは強い。正直潜在能力はマスターランクと変わらないでしょう。
…私はジェネシスにジェミニストームからも引き抜きたいと考えております。なので今ジェミニストームに追放されては困るのです。…もしそれでも追放されると言うならば私も一緒に追放してください」


「ロディー………っ」


「セカンドチームなど入れればジェネシスの価値は落ちます」


「落ちません、落とさせません。それにメンバーはキャプテンである私が決めていいハズです。…たしかにまだ弱いかもしれませんが私が必ずしも強くしてみせましょう」


「…そこまでアナタが言うのならば仕方ありませんね。好きになさい」


「ありがとうございます。では失礼します」




私は未だに固まっているレーゼの腕を取り、父さんの部屋を後にする


背後で部屋の扉が閉まれば、やっと我に返ったみたいだ


そして私の方を泣きそうな顔で見る




「…なんて顔してるんだ」


「だっ、だって俺嬉しくて…!!ディアムもギグもイオも皆、皆助けてくれてホントにありがとうッ!」


「私は事実を言っただけなのだから別に感謝されるような事をした覚えはない。……あぁ、そうだ」


「?」


「お前はジェネシス入り、決定したからな」


「……は?」


「お前は十分素質がある。ジェネシスに入れるのはあの日から決めていた」


「……えぇぇぇええ??!」


「黙れ」


「いや、だって、ほら、あの!!」


「…まぁそういう事だ。ジェミニの奴らには部屋で待機、練習は継続することを伝えておけ。ちなみにお前は明日ジェネシスのグランド集合だ」




そうレーゼに言って、私は自室へと足を向ける


すると後ろから叫び声が聞こえる




「…俺ッ、頑張るから!!ロディーに恥かかせない様頑張るから!!!」


「!(自分のために頑張れよな…)」




目頭が熱いのなんて気のせいだ



私は少し急ぎ足で自室に向かった





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