連れ出しませう?

□11話目
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アナタside_




ピピー




「エターナルブリザード、か…」




試合が終わった

吹雪は報告通り多重人格者らしい

…まぁたぶんあのシュートの必殺技見てる限り双子の弟の敦也の人格

瞳子姉さんだからスカウトは決定事項だな

あぁ、また雷門に戦力が増えるのか




「吹雪くんが多重人格者なんて分かりやすいのに、雷門の奴らは気づかないんだね」

「…だから弱小チームなんだよ」

「あははっ、否定できないね」




笑顔で毒を吐く隣の赤髪に、ホントにあの頃から変わったんだと実感させられた

…1番変わったのは私か




「そろそろ帰ろうよ、ホントに寒いっ!」

「…あぁ、そうだな」




ボールを軽く蹴ってやれば、一瞬にして父さんの部屋に視界が変わる

毎回思うんだが、これホントに一瞬だな



「帰ってきましね。雷門はどうでしたか?」

「白恋中エースストライカー、吹雪士郎が雷門に入るでしょう。吹雪士郎については計画通りでした。あと雷門は着々とレベルアップしておりました」

「そうですか。…では次の試合、確実にジェミニストームは敗北なのですね?」

「、!…はい、確実と思われます」




そしてレーゼは追放される




「…そうですか。ではデザームには用意しておくように言っておいた方が良さそうですね、頼みます。下がりなさい」




父さんは私たちのコトを"モノ"としか思ってないの?




「はい、失礼しました」




父さんの殺風景な部屋から出れば、グランはチームのコトが気になるようで走って帰っていった

…私も帰って寝るか




「ロディー!」

「ぁ…」




今1番会いたくなかった奴の声がした

そちらを見やれば、見慣れすぎた鮮やかな緑が目に入る




「レーゼか…」

「雷門はどうだった?強くなってたんじゃない?」

「…もちろん強くなってたさ」

「…そっ、か。じゃあ俺たち追放されちゃうんだねッ…?」




何故そんなに笑える?

涙を浮かべながら笑うんだったら泣けばいいのに

イヤだと叫べばいいのに


何故だか昔の、あの頃のレーゼを思い出した




「っ、」

「ロディー…?」




私はどうしたいんだ


レーゼは裏切り者

私を裏切った奴


だけど"追放"って言葉を聞くとなぜか

なぜか胸が痛い

なぜか鼓動が早い

なぜか耳をふさぎたくなる

なぜか目頭が熱くなる


なんなんだこれは


私は、どうしたんだ……?




「…ん……れよ…」

「え?」

「がんばれよッ」




気がつくと私はこんな言葉を口走っていた

私はそれだけ言って走りだした

レーゼが後ろで叫んでたケド今の私にそんなの聞こえない


今のはなんなんだ?


自分で自分が分からない























なぁ神様







神様はこの気持ちの名前を知ってるのか?









悪魔に魂を売ってもいい








だから







だから







だから誰でも良いから教えてくれよ













頼む


頼むよ……











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