連れ出しませう?
□3話目
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鬼道side_
あのボールを去なし軽く地面に着地した少女に、俺は目を奪われた
一瞬味方かと淡い期待も胸に抱いたが、その期待は無惨にも打ち砕かれた
「感情を表に出すなんて見苦しいぞ」
「!ロディー…」
!…さっきロディーは紗奈だとアイツが言っていなかったか…?!
「紗奈なのかっ!!??」
「!」
ロディーと呼ばれた少女は俺の言葉に、振り向いた
振り向いたロディーの容姿は、紗奈だった
ペイントや瞳の色、その他にも変わっているところなどはあるが、紗奈だった
紗奈は軽く目を見開いていた
そして横目でアイツをふいと見て、小さく舌打ちすると俺と向き合う様にして立った
「知らないな。…私はロディー、それ以外の答えなんかない」
「いや違う!あの時から容姿は少し変わっているが俺には分かるんだ!!」
「しつこいぞ!!それにお前なんかに何が分かるって言うんだ、お前なんかに!!」
「!?」
「私はロディー、ロディーだと言っているだろう!!…レーゼ、次に行くぞ」
「はいっ…!!」
「待てッ!」
俺は、去なしたサッカーボールを蹴ろうとしている紗奈の腕を思わず掴もうとしたが間に合わず、俺の手は虚しく空を切り、辺りは強い光に包まれた
光が収まりだした時には、紗奈やほかの奴らもいなかった
「…鬼道、紗奈って誰だ…?」
俺が紗奈のいた所を呆けて見ていると、円堂が恐る恐る話しかけてきた
…まぁ妥当な疑問だろうな
円堂の言葉に、ほかのメンバーも知りたいようで、こちらを見ながら頷いている
「あのレーゼって奴、スゴく取り乱してたな…」
「確かに」
「…はぁ、」
俺はため息を1つ吐き、話し始めた
「……紗奈は帝国学園、源田幸次郎の妹だ」
「「!!??」」
「源田の……?!」
「おっ、俺たち知らないぜ…?!」
「…当たり前だ。紗奈は9年前にある日、海で行方不明になって死んだ筈なんだからな」
「死んだ…?!」
「あぁ」
俺の言葉に、明らかに驚いている
…驚かない方がおかしいか
「皆!さっきのは今傘美野中にいるそうよ!!」
「夏未、本当か!?」
「えぇ、今すぐ向かいましょう!」
「「おぉ!!」」
紗奈、お前は本当に生きているのか…?