連れ出しませう?

□11話目
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「いきなりビックリしたじゃねェか…!」

「何回やってもあの感覚には慣れないよ…」

「あはは、ごめんって」




紗奈たちはある学校の前にいた

あのサッカーボールのようなものの効果なのか、各自元々の姿に戻っている




「不気味だな…」

「なんかの基地みたいだね」

「…ここは帝国学園小等部、兄さんたちの通ってる学校だよ」

「すげェな兄さん……」

「父さんの話だと、もう下校時間の筈なんだけどな」




その時紗奈の言葉を待っていたかのように、学校全体に轟かせるようなチャイムが鳴り響いた

すると一斉に校舎から生徒たちが流れ出てきた

紗奈たちはなぜか校門の影に隠れてしまった




「…わたしたちは何故隠れているんだ?」

「なんか知らないけど体が勝手に?」

「てかスゴい数だね…」

「帝国学園はここら辺じゃ結構有名な名門校だからね」

「へー…」




紗奈は会話をしながらも校門から出て行く生徒の中から兄を探そうとする




「ん?あれじゃない…?」

「え、」




5人が真剣に兄たちを捜していると、急にヒロトが声を出し、ある方向を指差した

ヒロトの声に、4人が一斉にヒロトの指差す方向を見る


そこには頬にはオレンジ色のペイント、風が流れているような紗奈と同じ茶色の髪の男子

見分けるには十分だったらしい




「兄、さん…」

「ホントに正解だったの?」

「じゃあ隣にいる2人は噂の有人くんと次郎くん?」

「有人くんはちょっと確証ないけどたぶんそうだよ」




紗奈は静かに俯く

それを見た風介は紗奈に話しかけた




「…いいのか、行ってしまうぞ?」




紗奈は俯いていた顔をはたと上げる

その紗奈の瞳にはいつもの輝きがなく、黒く濁っているようだった




「…うん。兄さん、私が見たことあるなかで1番いい笑顔してる。あんな笑顔見たことなかった。…聞かなくても答えなんか分かるでしょ?」




紗奈の瞳や言葉に、4人は目を見開く




「は?!まだ分かんねェに決まってんだろ…?!」



「晴矢たち言ってくれたよね、『大丈夫だ』って。リュウジもあの時言ってくれたよね
…全部嘘だったの?」

「だから…!!」

「もううるさいっ!!!!!」

「「!!」」




いきなり大声を出し頭を抱え始めた紗奈に、4人はどうすればいいか分からず戸惑う

すると紗奈は首にかけていたサッカーボール型のネックレスに触った

次の瞬間、辺りは強い光に包まれ、光が収まった頃には紗奈の姿はなかった




「くっ…、わたしたちも一度戻るぞ…!!」

「「うん/あぁッ!!」」




風介の言葉に4人は頷き、各々紗奈と同じサッカーボール型のネックレスに触れる

また辺りは強い光に包まれ、4人の姿はまたなかった







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