SHORT

□人肌が恋しいの
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「あ、日吉くん!」

「なまえさん、」





ある平日

長太郎くんが熱を出した

おばさんとおじさんも心配してたけどやっぱり仕事があるから休めなくて、心配そうな顔をしながら仕事に行った朝

結構熱が高いらしくて、たまたま今日の授業は4教科が多い日だったのもあって私も学校を休んで看病することにする

…決して体育が嫌だったわけじゃないからね

なにより、どうしようか迷ってた時のあの長太郎くんの顔が捨てられた子犬みたいに見えて、それを放って学校に行くなんて私には無理だった

休むことを学校に連絡しているときの長太郎くんの笑顔はさっきとは打って変わって輝かしいものだった。…私のキャラは旅に出ちゃったらしい

それからすぐに寝ちゃった長太郎くん

薬とか飲んでもらいたかったんだけどなぁ


冷蔵庫を開けて、長太郎くんが起きた時に食べれそうな物があるか見てみる

うーん、無難にお粥とかの方がいいのかな?

私が風邪引いた時はお粥とかより林檎のすりおろしたやつの方が食べやすかったけど

でも私とは当たり前だけど味覚とか違うわけだし

……あ"ー、看病なんて小さい頃にお母さんとしたお医者さんごっこ以来だし分かんない


結論、どっちとも作ればいいじゃないか


悩んだ末に出した結論はこれ

林檎が冷蔵庫の中に無かったから買いに行くことにした

部屋に勝手に入るのは少し気が引けたけど今はそんな場合じゃない

長太郎くんの頭の下にタオルでくるんだ冷却枕を入れて、起きた時用に水と置き手紙を勉強机に置いておく

苦しそうに呼吸してる長太郎くんを見て、早く帰ってこなきゃって考える私


近くのスーパーで林檎を買い終わって帰る途中、冒頭に戻る


目の前にはほんのりと顔を赤くしてる日吉くんがいた

いつもの凛とした雰囲気はない

それにこんな時間だし

日吉くんも驚いてるみたいだ





「なんでこんな時間にこんな所に?」

「こっちのセリフです。…げほっ、」

「もしかして学校、早退してきたの?」

「……はい、そうです。今帰る途中です。なまえさんはなんでここに?」

「長太郎くんか高熱出して、心配だし看病するのに学校休んだの!ていうか大丈夫、日吉くん?!」

「!そうですか。こんなくらいで俺は死にません」

「誰も死ぬ?なんて聞いてないからね?ていうか絶対大丈夫じゃないよね。家にお母さんとかは?」

「仕事行ってますからいません」

「え、」

「薬飲んで寝とけば大丈夫でしょうし」

「いや全然だいじょうばない!」

「なまえさんこそ日本語大丈夫ですか」

「せめてご両親のどっちか帰ってくるまで家来たら?精神的にも1人よりは楽だと思うし!」

「いいんですか?げほ、げほっ!」

「わっ私の家じゃないし、日吉くんが良ければ、だけど」

「風邪うつしても知りませんよ、俺」

「もう長太郎くんでうつってると思うし。あと私そんなに弱くない」

「!そうですね。じゃあ母さんが帰ってくるまで、お邪魔させてもらいます」

「うん!」








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