SHORT
□キミは、
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これは昔
まだなまえが輝いていた時のお噺だ
「なまえッ!」
「あ、次郎くん!」
「持ってきたぞ、いつもの!」
「ホント?!」
ある日の平日の放課後
佐久間は源田家に重いカバンを抱えながらやってきた
なまえはといえば、楽しそうに目を輝かせながら佐久間を出迎えた
源田の方はその光景にただ呆れる
「またお前らは…」
「だって好きなんだもん!」
「好きなんだもん!」
「なまえはカワイイがお前がやっても可愛くないぞ、佐久間」
「そんなコトは百も承知だ」
「次郎くんっ、早く早く!」
「あぁ!」
「…はぁ」
楽しそうに階段を駆け上っていくなまえたちに、源田は諦めたようにため息をついた
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「こっちがエンペラーペンギンで、これがコウテイペンギン!ちなみに俺はコウテイペンギンが1番好きなんだ!」
「へぇ…!」
なまえの部屋に着いた佐久間は急いでカバンからある物…―もといペンギン図鑑を広げてみせた
佐久間の説明を聞きながら、なまえは楽しそうに図鑑を眺めている
「ホント可愛いね!」
「そうだろ!源田にもこの可愛いさを分かってほしいんだけどな…」
「お兄ちゃんはバカなんだよ!」
「それ聞いたらきっと兄ちゃん泣くから、本人の前で言うなよ?」
「?うん」
「…ぁ!今度母さんに水族館連れて行ってくれるんだ、なまえも行かないか?」
「水族館…?」
「ペンギンさんがいっぱいいるんだ!」
「わぁ!私も行きたい!」
「よし、じゃあ母さんに言っとくな」
「、うんッ!」
なまえは自分が行っていいのか不安そうにしているが、水族館への期待への方が大きかったのか、すぐに笑顔を浮かべた
2人は次の土曜日に行く約束をし、とりあえず佐久間は帰った