SHORT

□置いていきなさい
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「花宮くん、はい!プレゼントだよ!」

「あぁ、ありがとう」





私は霧崎第一高校の1年生で男子バスケ部のマネージャーをしてる

今部活が始まる前の時間なんだけど、幼なじみのまこくんの周りには女の子がいっぱい

その中心にいるまこくんはいかにも人が良さそうに笑ってるけど、本性が名前と全く逆なのはここにいるあの女の子たち以外は皆、百も承知


部活が始まる時間は鍵も全部閉めて、カーテンも閉める

理由は簡単

バスケ界では"悪童"って呼ばれるまこくんの本性が先生にでも生徒にでもバレたら困るから

今度試合の日教えてあげよっかな


そして今日はそんなまこくんの誕生日

午前中渡せなかった後輩たちが今渡しに来てるわけ

幼なじみだし一応毎年買うんだけど毎年そんなにもらってるし、いっかと思って渡すのを止める


正直早く部活を始めたいんだけどバスケ部以外が講堂内にいるから始められない

爽やかに笑ってるまこくんが憎たらしすぎる

もう10分過ぎてるんだけど





「……じゃあごめん、これから部活あるから、さ……」

「!!あ、ごめんなさい…!また明日ね、花宮くん!」

「うん、またね」





女の子たちの姿が見えなくなった瞬間原先輩たちが一斉に鍵とカーテンを閉めた

まこくんはその場にダルそうに座り込む





「あー、ダリィ………」

「なら本性見せちゃえば?」

「ふはっ!バカなこと言うんじゃねーよ」

「ダルいって言ったの、まこくんじゃん」

「……黙ってろ」

「酷いなぁ。……それより、その両手にたくさんあるプレゼントはどうするの?」

「今年も誰かにやる」

「くれた子たちに失礼だよ」

「誰も頼んでねーよ」

「サイテーだ、駄目男だ、何様だ」

「俺様。つか前半誉め言葉」

「言うと思ったよ!!うざ!」

「仮にも幼なじみにそれ言うことじゃねーだろ」

「仮にもならいいんじゃない?」

「ふはっ!」

「その笑い方変えなよ、おかしい人みたい」

「あ?」

「ごめん、もうおかしい人だよね、間違えた」

「よし死ね」

「道連れにしたげる」

「1人で逝け。見送ってやる」

「却下。……やっぱ死ぬのいやだからまこくんだけどうぞ」

「なんで俺も死ぬ設定なんだ」

「あはは」

「笑って誤魔化すんじゃねー」





いつも通りの言い合いをして、一段落がついた

…あれ?タオルちゃんと用意したっけ?

物忘れが最近酷くなったかな

老化現象なんて認めないぞ


まこくんに背中を向けて歩きだそうとしたらまこくんが私を呼んだ

私は振り向く





「なあに、まこくん?」

「…毎年思うんだけどさ、なまえはねーのかよ」

「?なにが?」

「………たっ誕生日プレゼントに決まってんだろ」

「毎年買ってるよ」

「、は?」

「だから、毎年買ってるって言ってるの。けどたくさんあるしもらっても嬉しくなさそうだからいつも同級生にあげてる」

「は?あ?…え?」

「じゃあマネ業してくるね」

「ちょっ…!!!待てよこら!!!!!」



























置いていきなさい

(あんだけ花宮を振り回せるのはなまえだけだよな)
(当たり前だろ)







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