SHORT

□人は変わります
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「はい光くん!」


「お、くれるん?おおきにな!」




今日は2月14日


世に言うバレンタインデーというものである
なまえも双子の兄、財前光に手作りチョコを渡していた


光は早速チョコにかぶりつきながら、ふと浮かんだ疑問をなまえにぶつけてみる




「そういや去年も誰かにチョコやったん?」


「え?…あぁ、マネージャーやってたのでテニス部の皆に!私氷帝に入るまで、チョコはもらえるものだと思ってたんですよ?」


「は?」




明らかに頭の上に?を付けている光に、なまえは慌てて説明する




「なんていうか、私女の子から結構チョコもらってたんですよ!」


「女子から…?」


「はい!なんな不良に絡まれてるの助けたりいろいろしてたら、なんか女の子から慕われるようになっちゃいまして」


「へぇ…」




ピンポーン




「ん?宅急便ですかね?」




急に鳴ったチャイムに、なまえは玄関に走っていく


すると案の定宅急便だったようで、リビングに戻ってきたなまえの手には大きなダンボールがあった




「誰宛なん?」


「えっと…、…私みたいです」


「誰から?」


「さっき話してましたた氷帝の女の子たちからみたいです!…あれ?住所教えたかな…?…まっ、いっか!」


「いや、ようないやろ!」




普通にダンボールを開け始めたなまえにツッコミながら、光は何気なしに伝票を見てみた




「は?!」




光は驚いた


それもその筈だ


送ってきた相手の名前を書くところに『なまえ様ファンクラブ』と書いてあったからである




「どうしたの?」


「ファンクラブまであったん…?」


「なんか気が付いたらあったんだよね!私なんかにファンがいてくれるなんてビックリだよ!」


「それはおかしないわ。てか何個ぐらいチョコ入ってたん?」


「…なんかいっぱい」




なまえの言葉に、光はダンボールの中を覗いてみる


すると中にはぎっしりと可愛くラッピングされたチョコが入っていた


1番上にあったチョコに手紙のようなものがついてあったので、興味本位で手に取り読んでみる




「(『お久しぶりです。四天宝寺でもなまえ様の美貌を振りまいているのでしょうか。
なまえ様が大阪に行かれてしまい、生きている実感が沸きません。跡部様たちはもちろん、氷帝の全ての者たちがそうです。早くなまえ様が戻ってこられる事を心待ちにしております。』………なまえどんだけ?!)」




光もここまでとは考えていなかったのか、手紙の内容に驚くばかりだ


なまえは氷帝で一体どういう立場で、どういう扱いを受けていたのか、とても気になるところであるが、何故か聞くことが怖いので諦める


そして何もなかったかのように静かに手紙を元あった場所に戻した




「光くんは毎年チョコ絶対多いよね!」


「そないことないで?」


「…テニス部の皆も絶対たくさんもらいますよね……」


「いや聞いとる?」


「じゃあ私からのチョコあげない方がいいですよね?そんなにチョコあっても邪魔だし!」


「!」





光は考えた


そして光とは思えないぐらい爽やかな、それであって真っ黒な笑顔で言った




「毎年先輩ら多いからなぁ……。俺が食ったろか?俺甘いもん好きやし!」


「本当?!良かった!」


「(先輩ら、すんませんとは言いませんからね)」


















人は変わります

(なまえちゃん!今日何の日か知っとる?)
(バレンタインですよね、忍足先輩?
でも先輩たちはチョコ多くて困ってるって光くんが言うから……)
(俺が食ったっスわ)
((((はぁぁぁあ??!!))))




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