連れ出しませう?

□5話目
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それから数日後_




「晴矢はチューリップの子孫…?」

「あぁ、そうだ」

「おいこら、風介!!なに真顔で紗奈に嘘教えてんだよ?!」

「え、嘘なの?!」

「いや信じてたのか?」




ある日の昼下がり

お日さま園はいつもの様に騒がしかった

今日はあいにくの雨で、皆は室内で遊んでいた

紗奈、茂人、風介、晴矢、リュウジはお喋り、
女子たちはお絵かき、
男子たちは部屋の中で仮面ライダーごっこをしているようだ

しかしヒロトだけはなにやら星次郎に呼ばれているようで、朝からいなかった




「…リュウジの髪って抹茶みたいだよね。」

「ちょっと紗奈?なんでそんなに涎たらしそうで目を輝かせてるの?」

「なら風介はタイフーンだね」

「゙なら"の意味が分からないぞ、茂人」

「ねぇ紗奈!私たちアナタを描いたの!!」

「ぇ、本当?見せて!」




女子たちはスケッチブックを抱えて紗奈の方に駆け寄ってきた




「まず私だ……!」

「え、写真みたい!!でも私こんなに可愛くないよ…?」




玲名の絵は紗奈そっくりで、こんな幼い子が描いたとは思えない程だった




「次に私たち!!」



「どうかな、紗奈?」

「私とクララたちだ!スゴいなぁ!」




愛とクララは2人で描いたようで、紗奈だけでなく自分たちも描かれていた

玲名程ではないが、十分上手いだろう




「次私よ!」

「…うん、私は怪獣かな?」




杏の絵ははっきり言って赤ちゃんレベルだった

紗奈でさえ少し苦笑気味だ




「やっぱり下手、だよね…?」




杏は少し寂しそうに笑う

それを見た紗奈が杏の頬に手を添え、膝をついた杏に目線を合わせる




「杏、そりゃあ杏は絵を描くのが苦手かもしれないけど、私は杏の絵が好きだよ?
それに私を想って描いてくれたんだよね?
その気持ちが私は1番嬉しいな!」

「ぶはっ!!」

「杏?!」

「「…」」




今皆の心は1つだった




「「((タラシだ…!!それも1番厄介な天然タラシだ…!!!))」」




杏は顔を真っ赤にさせ倒れた




「「杏んんん!!!!」」




夏彦たちは慌てて駆け寄る

どうやら杏は気絶してしまっているようだ

皆が慌てふためいていると、扉が勢いよく開いた




「ヒロト!」

「皆!父さんが呼んでるよ!」


「父さん、が……?」





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