連れ出しませう?
□2話目
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次の日の朝、幸次郎が学校に行くのを見送るために紗奈と母親はいた
「じゃあ学校いってくるよ!」
「いってらっしゃい」
「いってらっしゃい、兄さん」
「いってきます!」
バタンッ
しかし玄関の戸が閉まれば、先程までの優しそうな笑みは消え紗奈を見下す様な表情に豹変する
「紗奈、今からでかけるわよ」
「…はい」
紗奈は母親にどこかに連れて行ってもらえたことが、いつか忘れてしまう程昔だったため期待する反面、何故かは分からないがスゴく恐怖していた
しかし突っ立っているワケにもいかず、自室に戻り用意をし始めた
「(分かんないけどなんか、もうココには戻ってこない気がする…)」
そんな事を考えながら紗奈は、大好きなぬいぐるみやお気に入りの絵本などをカバンに詰めた
そして紗奈は無意識か自分の部屋を名残惜しそうに見渡し部屋を出た
紗奈が下に降りると、もう母親は玄関の所に立っていた
母親は何故か大きなボストンバックを1つ肩に提げており、そのボストンバックが紗奈の不安感をまた膨らませた
そして車に乗り込む
もちろん移動中も会話など無く、車のエンジン音とラジオか何かから流れているクラシックだけがただ鳴り響いていた