連れ出しませう?

□11話目
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幸次郎side_






「源田!!」

「ん?どうしたんだ佐久間、鬼道?」




ある日、俺が帰る用意をしていると急に佐久間と鬼道が話しかけてきた




「今日、お前の家に寄っていいか?」

「?いいぜ。でも珍しいな…」




最近鬼道はサッカー、佐久間も勉強が忙しくて3人であまり遊べなかったよな……

それも鬼道から誘ってくるなんて余計に珍しい




「いや…、昔紗奈が好きだったクッキーを久しぶりに父さんから貰えたから供えに行きたくてな……」

「…あぁ、あれか!」




昔鬼道が家に来た時に持ってきてくれたどこかの国の珍しいクッキーを紗奈にあげたら大喜びしたんだっけな…




「いいのか?鬼道もたしかそのクッキー好きだろ?」

「いいんだ」

「……ありがとな?」




鬼道は今でも紗奈が好きらしい

よく墓に行っては切なそうな顔をしている




「だから俺もペンギンのぬいぐるみをあげるんだ!!」

「それは佐久間の趣味だろ」




俺たちは上履きから運動靴に履き替えながら今日の計画を立てる

ちなみに佐久間も紗奈が好きだ

佐久間は鬼道のみたいに隠そうとせず、オープン

だからきっと葬式の時に1番泣いたのは佐久間だろう




「紗奈もペンギン好きだしな!?てか源田もなんか供えろよ!」

「俺は毎日拝んでるっつの」

「いいじゃないか!!」

「はぁ?!」

「佐久間、あまり源田を困らすな」

「…ちぇっ」




鬼道たちが本気で紗奈を好きでいてくれてるんだと考えたら、無意識に笑顔になる




「?おい源田!なに1人で笑ってんだよ!」

「いや、ちょっとな!」

「教えろよー!!」




ふと出たばかりの校門のところを見ると、紗奈によく似た明るい茶髪が見えた気がした


…気のせい、だな





「?どうした源田?」

「…いやなんでもない!」










悲しい現実

(許さない…!!)

(紗奈もきっと喜ぶだろ!)






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