テニプリ
□ほんとにすみません2
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謙也さんがめっちゃ早い時間に来て、遊ぼうとかほざいてきたんは3時間ぐらい前のこと。
店が開くまではゲームやらなんやらやって時間潰していた。
そんでやっと時間になって、外に出て目的地についた。
いや目的地なんかや無いかも知れへん。てか、無いわ。
特に行きたい所もやりたいことも無かったらしい謙也さん。
ならなんで遊ぼうなんて言ってきたんやと思う。
本人に聞いたら「遊びたかったからや!」とか答えてきた。
ほんまアホやろあの人。
そんなわけで遊ぶ場所の決定権は俺に委ねられた。
俺が選んだ場所は雑貨屋。
それも普通の雑貨屋や無くて、なんか変なもんとか置いてある雑貨屋。
普通よりめっちゃでかい菓子類とか、ケーキ屋の前に置いてある舌だした女の子の人形見たいなのとか。
ほんまやったらア○メイトとか行きたかったけど、オタクや無い謙也さんを連れてっても楽しめんと思ったからやめといた。
そんで、謙也さんも楽しめる場所俺なりに考えた結果がここやった。
ここなら売ってるもんはネタ見たいなもんやし、珍しいもんには何でも食いつく謙也さんなら楽しめると思った。
案の定、謙也さんはめっちゃ楽しんどる。ガキかっちゅーぐらいに。
「光ー!見てみ!めっちゃでかい!」
「あー、そうですねー」
「あ、これ何や!?…青汁クッキーやって!作ったやつ天才やわ!」
「絶対まずいやろ、それ。腹壊しても知りませんよ」
「青汁ナメんなや!」
店内なんてことは頭に無いであろう謙也さん。
次々と面白そうなもんを見つけては、俺に報告してくる。
面倒臭いから適当に返事しても、笑顔で勝手に盛り上がっとるんやけど。
メンタル強すぎやないですか、謙也さん。
「ちょお光!カントリーマ○ムの抹茶味あったで!」
「あー、はいはい」
「レアもんいっぱいやな!あ、かざぐるまもあるわ!」
「ちょ、謙也さん。かざぐるま回すとか恥ずいっすわー」
ほんまにガキやこの人。
かざぐるまでテンション上がっとるとか、小学生か。
それとカントリー○アムは何だかんだ言って、バニラ味が最強やと思う。
ココア味も美味いけど、ココア生地にチョコチップはちょおしつこい気がする。
やっぱりバニラ生地のほんわかな甘さとチョコチップの絶妙なチョコ加減がベストや。
あと、苺みるくやら抹茶味やら最近はいろいろ出とるけど、やっぱスタンダードなやつのが美味いと思う。
で、あっためるのは最高や。
生地がほかほかしてチョコチップが、とろっとしたぐらいが最高にベストすぎる。
あ、最高とベストって同じ意味やん。まぁ同じのを2つ使うぐらい、ええってことや。
「光!これ凄いで!」
「大声出さんといて下さい、むっちゃ恥ずかしいんですけど」
「やって、これ凄いんやもん!」
「…これのどこが凄いねん?」
謙也さんがまた騒いだ。
凄い凄いと指を指しながら、大声で。
指の先にあったんは、100円入れてレバーを回すとお菓子が出てくるやつ。上手く紙コップで受け止めないとこぼれるやつ。
一個の機械に三種類ぐらいのお菓子が入ってて、謙也さんが指さしてた機械には、こんぺいとうとマーブルチョコとコーヒー味のチョコが入っていた。
「お星さま入ってる!」
「こんぺいとうですけど」
「いや、お星さまや!」
いやこんぺいとうやから。
お星さまがこんなちっこい箱の中に入っとるわけないやろ。
しかも100円て。
安すぎるわ。
「よっしゃ!お星さまとったるで!」
「100円入れれば誰でも取れるんやって知ってます?」
「いや、お星さまはスピードスターの俺にしか取れへんわ!」
「アホか」
アホやない!って叫んでるけど、アホやと思う。
スター仲間っちゅー意味で言っとるんやと思うけど、良くわからんし。
謙也さんは「見てろや光!」って言うと、財布を取り出した。
ぱかっと小銭が入ってるであろう所を開けて、100円を取り出…せなかった。
「光…100円さん居ない…」
涙目で俺を見てくる謙也さん。
どうやら100円玉が切れてるらしい。だからって俺を見られても困るんやけど。
「はぁ…しゃーないっすわ」
俺は財布から100円を取り出すと、機械にいれた。
がちゃがちゃっとレバーを回すと、ずざぁっと こんぺいとうの出る音がした。
近くに老いてある紙コップを手にして、それを上手いこと受け止める。
さすがは俺。
こんぺいとうは一つ残らず紙コップに収まった。