テニプリ
□ほんとにすみません
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謙「ひっかるー!遊び行こうやーっ!」
光「…は?」
今日は珍しく部活が休みな休日。ほんまに貴重。
俺の計画は一日中ネットサーフィンしつつブログでも更新する、だった。
朝もゆっくり寝て、朝ご飯なんて食べなくていいから出来るだけ長く寝て、のそのそ起き上がりたかった。
それが何や。
自称スピードスターの異名を持つ部活の先輩が、いきなり家にきよった。
時刻は7時。夜じゃなくて午前やで、午前。AM。
さすがスピードスターと思うぐらいの早い時間。…つーか、早すぎますわ。
目覚まし代わりの謙也さんの声で強制的に俺は起こされた。
なんやねんほんま。まだ寝てたいんやけど俺。
そんな早い時間に活動したいんやったら勝手に一人で近所でも走ってろやボケ。できたら、俺の家から離れたとこだとありがたい。
「ひーかーるーっ!?あれ、聞こえてへんのかー!?」
馬鹿でかい声で叫ぶ謙也さん。
そんなでかい声で人の名前叫ばないでほしいんですけど。明日から近所出歩けなくなりますやんか。
俺が答えないでいると謙也さんは俺の名前を連呼し始めた。
お願いしますからそんな叫ばんといて下さい。ほんま恥ずい。
明日から引きこもりになったらどう責任とってくれんねん。
「聞こえてますから黙れやこのボケボケスター」
「おっ、おはよーさん光!…ってボケボケスターて何やねん!?」
「そのままの意味ですわ。とりあえず恥ずいんで家上がって下さい」
ほっといたらずっと叫んでそうな謙也さんを放置するのはやばいと思い、窓を開けて答えた。
家に入れろとは言われなかったが、帰れと言っても帰らんであろう先輩を俺は仕方なく家に入れることにした。
…って俺、起きたばっかやからスエットやん。
髪も整えてないわ。まぁ謙也さんやし気にせんでいいか。
そんなことを思ってるうちに謙也さんがやってきた。
ドアをコンコンて叩いて、俺が答える前に「入るでー!」と、ドアを開けて中に入ってきた。
何もかもが早いなこの人は。
「光ー…ってまだ起きてなかったんかい!」
「時計見ろやボケ。まだ健康的な学生は寝てる時間ですわ」
「早寝早起き朝ごはんって言葉あるやん」
「今の時代は遅寝遅起き昼ご飯ですわ。うわー、謙也さん時代遅れー」
「そんな不健康な生活、白石が聞いたら般若と化すで!」
いや、白石先輩だすんは卑怯やろ。あの人の健康オタクっぷりは以上なんやから。
「てゆーか何しに来たんですか謙也さん」
ただ起こしたかっただけとか言ったらぶち殺しますよ。と、付け加えれば「怖いな自分!」と返された。
ほんまにびびってるように返してくるのが面白い。
「起こしたかっただけちゃうで!遊びの誘いに来たんや!」
遊びの誘い?
その日にいきなり?
こんなに朝早く?
いやいや冗談やろ。
「冗談ちゃうで!遊ぼうや!」
「嫌です」
「標準語やめや!」
いや、冗談ちゃいますし。
何でこんな朝早くに来た無礼者と遊ばなきゃいけないねん。
遊びたいなら白石先輩やらユウジ先輩を誘えや。なんで俺をセレクトしたんか疑問なんやけど。
「やって俺らパートナーやん!」
ダブルスパートナーやし、遊んで以心伝心しようや!
そう自信満々に言う謙也さん。
遊びと以心伝心てあんまり関係ないと思うんやけど。
「遊ぶ言うまで帰らんからな俺!」
「今すぐ帰ってほしいんですけど」
「嫌や!」
そんなはっきり言われても、と思う。…どうやら謙也さんは俺が遊ぶと言うまで帰らないらしい。
変な所で頑固な謙也さんのことだから、ほんまにずっと帰らんのは予想できる。
「はぁ…しゃーないっすわ」
ずっと帰られないのは困る。
そう判断した俺は、謙也さんと遊ぶと言うことを選択した。
「ほんま!?」と目をきらきらさせて笑う謙也さんを見て、何でこの人はこんなに元気なんやろなぁ…と思った。