1week
□H水曜日午後10時
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「ミサキ様!」
リックの声が聞こえる。
あれ…?
俺は今、どうしてるんだ?
視界はぼやけて、あちこちで叫び声が聞こえる気がするのに、自分の耳には全く響いて来ない。
赤い光も見える。
あれは何だろう、火事か?
それでこんなに暑いのか。
「ミサキ様!!」
再びリックの声
『どうしたんですか?』
すぐ近くで聞こえた声に、ようやくノロノロと焦点を合わせると、リックの心配そうな表情が目に入った。
「早く…早く逃げましょう。こちらへ」
リックが手に持ったマントを俺にかけてくれる。
あれ、何で俺…せっかくの兵士服がなくなってる。
暑いから脱いだのか?
『水…』
無性に喉が渇く。
リックの頬に光る涙の跡が見えた。
心臓が高鳴る。
火事とか、叫び声もどうでもよくなった。
水曜日、午後10時
俺は腕を伸ばしてリックを抱き寄せると、そのままリックの唇に自分の唇を押しつけた。