1week
□G水曜日午前2時
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廊下の先に灯りが洩れている。
「康哉!」
俺は前を歩く男の背中に叫んだ。
「そっちに行くな!」
この暗い場所は、俺達が異世界に来るきっかけになった廃屋だ。
あの時も、真っ暗で、嫌な予感がして、背中がぞくぞくした。
「帰れなくなるぞ!」
俺の声を無視して、康哉の背中は廊下の向こうに消える。
「くそっ…!お前とは絶交だ。泣いてもしらねーぞ!」
恐怖をまぎらわせるために、大声で言いながら康哉の後を追う。
廊下を曲がった先も、暗くて長い廊下が続いていた。
ずっと先に康哉の背中がかろうじて見える。
…あの廃屋、こんなに広かったか?
水曜日、午前2時
俺は終わりの見えない悪夢の中にいた。