ちびドラゴンは王子様に恋をする

□プロローグ
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 ようやく自分の番が来た。
 カウンターに座る白ずくめのおじさんが、アンケート用紙を回収する。俺のアンケート用紙を見て呟いた。

「異世界転生でチート能力ね。はいはい」

 それからアンケート用紙にポンと『採用』という文字のスタンプを押す。

「え? 採用って何? 何のアンケートだよ。それにここどこ?」

 白ずくめのおじさんはにかっと笑った。

「ここはあの世だよ。君は転生するまでの順番待ちをしてたんだよ。前世での行いが良かったから、来世では希望に即した人生が送れるはずだよ。良かったね」

 え? あの世? 順番待ち?

「あっちの列の人たちはアンケートなんて無いし、向こうの列の人たちのアンケートは魚か鳥かの二択だったりするんだよね。他にも虫とか。人間になりたくないって人たちも一定数はいるんだけれども」

 えっ、そんなシビアなの? なにそれ怖い。

 呆然としている間に、さっきの係の人が再びすいっとやって来た。

「はい、後がつかえてますのでこちらにどうぞ。違う世界に転生ってワクワクしますね。どんなチートがもらえるんでしょうね」

 接客トークみたいな滑らかなおしゃべりを聞かされながら、背中を押されて白いゲートの前に立たされた。

「え? もう? いきなり?」

 あんなに長い行列に待たされてうんざりしてたのに、いざ旅立てと言われると、中でダラダラしていたときが懐かしくなってくる。

「いってらっしゃい〜」

 抵抗する暇もなく、まるで掃除機に吸い込まれるほこりみたいに、身体がゲートに吸い込まれた。
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