企画
□君のが欲しい
1ページ/1ページ
1年の時から拓人はモテていた。
告白なんてしょっちゅうだし
バレンタインは山のように貰うし
私が去年どれだけ泣きそうになったことか…
きっと今年もそうなんだろうなぁ。
「はぁ」
今年はあげない方がいいのかなぁ?
一応、作っては来たけど…
「名前!」
あ、拓人だ。
あれ?拓人の腕にチョコがない。
「あれ?今年はチョコはもらってないの?」
「あぁ、全部断ってきた!」
「へ?」
「俺が欲しいのは名前のだけだから」
欲しかった言葉
じんわりと胸が温かくなる
「拓人っ…!!」
「あるんだろ?俺のチョコ」
そう言って机の上に置かれた小さな紙袋を指さした。
「うん。これ、受け取ってくれる?」
「もちろんだ!!」
君のが欲しい
--------------
(…ってことがあったの!)
(へぇ、よかったじゃん)
(うん)
(昨日神童に口添えした甲斐があったかな)
(え?霧野、拓人になにか言ったの?)
(いーや。俺は知らないな)