Novel

□透明
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東京と神奈川
近いような遠いような
そんな距離がこんなにももどかしいものとは。



「くっろこーっち!」

「…………………なんで黄瀬くんがこんなとこに居るんですか」

「ひっひどいっスよの言いぶり!オレが火神っちにお願いしてたんス!」

「はい?どういうことですか?火神くん」

「いや…黄瀬から昨日、黒子をマジバに寄らせろって頼まれて…」

東京のとあるマジバで向かい合って座る誠凜の男子校生と、部活に力を入れていることで有名な海常の男子校生が店内で喚く。

正確には海常の金髪の男だけだが。

「先月黒子っちと遊ぶ約束してたのに仕事でドタキャンしちゃうし、会いに来たいのに部活やら雑誌やらで忙しくて…」

なよなよーとテーブルに顎を乗せ今にも泣きそうな顔をする黄瀬。

二人用のテーブル席に座っている黒子、火神はさておき黄瀬がテーブルに顎を寄りかからせていると若干道を塞ぎかける。

「黄瀬くん立って下さい。ただでさえ体格が大きいのですから邪魔です邪魔くさいですあとうるさいです余計バカっぽく見えますよ少しは周りの事も気にして下さい」

「容赦ない言われようっスね…火神っち〜やっぱドタキャンして埋め合わせできなかったこと黒子っち怒ってるっスよ〜!どうしよ〜っ!」

「オッオレに振んな!知らねぇよお前らの問題だろ!」

ハンバーガーをむさぼりながらとばっちりを回避する。

その火神の薄情な態度にいよいよ涙目な黄瀬。

一方の黒子は味わっていたシェイクが無くなった為、ダストボックスへ捨てに立ち上がる。

「うぅっ黒子っちに嫌われちゃったっスかねオレ…」

「特にお前らに興味はねぇけど、黒子はそこまで心狭くねぇだろ」

「だといいっスけど…」

黒子が席をたっている間に根は優しい火神がフォローを入れる。


「火神くん、僕シェイク飲み終わったので先に失礼します」

「おお、オレは食い終わってから帰るわ」

「はい。ではまた明日部活で。黄瀬くんは残りますか?」

「いやいやそれじゃ火神っちに黒子っち呼んでもらった意味ないじゃないスか!オレも帰るっス!」

「はぁそうですか。火神くんそれでは」

「おう。じゃあな黒子に黄瀬も」

「じゃあねっス!あっ、待って黒子っち先に行かないでぇええ」



スタコラと店を出る黒子を慌ただしく追いかける黄瀬。

それを火神は15個目のハンバーガーにかじりつきながら目で追う。


「…明らか黒子嬉しそうにしてたじゃねぇか。あんなに人をいじるのなんて相手が黄瀬の時だけだろ」

というのをあえて黄瀬には言わないのはやはり火神も黄瀬をいじるのが楽しいからである。
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