桜色
□161と164
1ページ/2ページ
「「おはよー」」
「あ、名前に翔、おはよっ」
元気な挨拶で俺と楽屋に入る彼女、苗字名前。
俺達ST☆RISHのマネジャーであり、俺の彼女だ。
「ほら音也、またこれ忘れてる!!」
「うわっと、サンキュー!!」
「那月もそろそろ本番だからボーッと小鳥さん見てないで準備!!
真斗もほっぺたに墨ついてる!!
レンは女の子とのメール終わり!!
トキヤも台本読んでないで、ステージに集中!!」
世話焼きが功を奏したのか、
俺達だけでは補えないところを上手く補ってくれる。
…のはいいんだけど、メンバーは名前に必要以上に絡む。
俺と名前が付き合ってるのを知ってるくせに。…知ってるからかも知れないけど。
「よし、みんな、準備はいいね?」
「いいえ、まだです」
トキヤが何やら企んでいるような笑顔を浮かべる。
「何か不備があった?」
「いいえ、不備はありませんよ」
トキヤはそう言いながら名前に近づく。
そして名前の腰に手をあてると、グイと引き寄せた。
「君が足りません。キスをください」
「な、なななななっ!?」
俺は突拍子もないことをいったトキヤを指差す。
一方の名前はキッとトキヤを睨む。
「トキヤ?今は夜じゃないの。それに本番前」
名前は普段は(男勝りで)世話焼きで優しいけど、仕事が関わるとものすごく厳しい。
トキヤも、それを知ってるから…
「では、打ち上げの時にでも」
といって諦めた。
トキヤのことだから、絶対に何かある。…とても心配だ。
**********
本番も無事終わり、俺達(俺とトキヤと音也とレン)は名前の家で打ち上げをする。
何で今日はよりによって名前の家なんだ…
「えーっと、今日もお疲れ様でした!!じゃ、カンパーイ!!」
音也の声で打ち上げが始まる。
俺達はまだ未成年だから、酒は飲めない。
だから、打ち上げといってもパーティ状態だ。
「苗字さん?先程の約束ですが…
本番ももう終わりましたし、いいですよね?」
「え、何言っ「トキヤ、やっちゃえやっちゃえ♪」
「音也っ、雰囲気に酔うなっ!!
トキヤも離してっ!!」
名前の突っ込みも、今は可愛いレベル。
当然、トキヤの力には敵わない。