桜色


□アイ ノ ウタ
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「トキヤ、絶対デビューしようね!」
「えぇ、もちろんです!」

5年前
私と彼女…苗字名前は空に浮かぶ満月に誓った。
5年前の3月、
卒業オーディションで見事優勝した私たちは、
晴れて早乙女学園のアイドルと作曲家となった。
私と名前は最高のパートナーであり、
彼女は私の最愛の人だ。

シャイニング事務職社長…シャイニング早乙女さん公認のカップルとなった私たち。
その日から数えて1年目。
私がデビューしてすぐ、名前は海外に留学することになった。
もちろん、この手から離したくなかった。
それでも、夢を追う彼女を引き留める理由もなかった。
私たちは、あえて文通と言う形で連絡を取りあった。
電話だと会いたくなる。
メールだと感情がこもらないから。
1年後にまた会おう。
そんな約束をした。

早乙女学園の屋上で。
その約束をした文通で、手紙が途絶えた。
約束の日、約束の場所へ。
それでも、彼女は来なかった。
諦めにも似た感情が沸き上がる。それでも、私は一方的に手紙を出した。
私は、唄を奏でます。
一方的でもかまわない。
貴女が私を嫌いでもかまわない。私は、貴女だけの唄を奏でます。

2年目
私はHAYATOを抜かすトップアイドルとなった。
素の状態でのテレビ。
HAYATOではない、本当の自分。
早乙女学園に入る前からの夢だった。
………名前が側にいないことだけが、私の心に穴を開ける。
私は、2週間に1通、名前に手紙を書く。
私の今の状況、私の今の歌、それを全て伝えるために、毎回CDを同封した。
貴女への、貴女だけの唄を。
貴女だけへの、愛を…
それでも、返事は来なかった。

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