帝国図書館
□おんぶ
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駅から出て数分。
"用事を思い出したから、先に行くね"
明日菜がそう言って、先に寮へ帰ってしまったため、今は木乃香を背負った刹那しかいない。
「すぅ……、すぅ……」
周囲に誰もおらず、刹那の耳に聞こえるのは、木乃香の安らかな寝息だけ。
刹(………そういえば、昔もこんな風にしてさしあげた事がありましたね………)
それは、まだ二人が京都にいたころ……、遊び疲れて眠ってしまった木乃香を、刹那がおぶって帰った時の事。
当然幼かった刹那は、今の用に軽々と運べるはずもなく、屋敷に着いた時はすっかり夕方になっていて、自分もヘトヘトになってしまったという、ちょっと苦い思い出………。
刹(あの時は長に叱られしまったんでした……;)
と、その時…………
木「んっ……」
ギュ……
刹(わあっ!?///)
またも寝ぼけた木乃香に抱きしめられてしまう……。
刹(ハッ!!Σ)
ここでようやく自分の置かれている状況に気がついた刹那。
勘の良い読者の皆様なら、もうお解りかと思いますが一応、状況の説明を……。