帝国図書館

□おんぶ
3ページ/6ページ





駅から出て数分。
"用事を思い出したから、先に行くね"
明日菜がそう言って、先に寮へ帰ってしまったため、今は木乃香を背負った刹那しかいない。

「すぅ……、すぅ……」


周囲に誰もおらず、刹那の耳に聞こえるのは、木乃香の安らかな寝息だけ。


刹(………そういえば、昔もこんな風にしてさしあげた事がありましたね………)



それは、まだ二人が京都にいたころ……、遊び疲れて眠ってしまった木乃香を、刹那がおぶって帰った時の事。

当然幼かった刹那は、今の用に軽々と運べるはずもなく、屋敷に着いた時はすっかり夕方になっていて、自分もヘトヘトになってしまったという、ちょっと苦い思い出………。

刹(あの時は長に叱られしまったんでした……;)

と、その時…………



木「んっ……」

ギュ……

刹(わあっ!?///)

またも寝ぼけた木乃香に抱きしめられてしまう……。

刹(ハッ!!Σ)


ここでようやく自分の置かれている状況に気がついた刹那。


勘の良い読者の皆様なら、もうお解りかと思いますが一応、状況の説明を……。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ