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□新たな受難の幕開け
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「あっ、臣!ちょうどいいとこに…」
朝―もうすぐ正午を回る―、李鵜琵と城内を散歩していると、同期の凛がかけよってきた。
「凛?おはよ…今朝も元気なことで…」
相も変わらず五月蝿いやつだ。しかし今朝はそれに拍車がかかり、一段と騒がしい。
「それどころじゃねぇんだって!あれ見てみろよ!」
彼は折檻部屋を指差して、言った。
「ああ、新しい子が入ったってやつか?」
「まぁ、そうなんだが…そいつがなかなか落ちないってみんな手ぇ焼いてんだよ…お前さ、ちょっと行って…」
「いやだね」
臣はすがりつく友人を振り払い去ろうとした。だが李鵜琵は立ち止まり、呟いた。
「見てみたいな…誰かが調教されてるの」
臣は深いため息をつく。李鵜琵は一度言い出したら聞かない。
「…ちょっと待ってろ」
「うおっ!?さすが我が親友!」
ギャーギャーとはやしたてる凛を置き去り、臣は折檻部屋の扉を叩いた。
「入るぜ?」
中の模様は凄惨なものだった。縄で縛られ、孔にも口にも男性器をつっこまれる苦しさに涙を流して耐える少年がの姿があった。年はだいたい李鵜琵と同じくらいか…
「ったく…可哀想な奴らだな、赤軍民ってのは…」
これ以上は干渉不要と見た臣はボソッ呟くと、部屋を出た。
「ね、どーだった?僕も見ていい?」
「やめとけ…つか、奴隷は基本的に外出禁止なんだよ」
「でも臣が連れ出してくれるじゃん?僕は自由にしていいって…だから僕、すごく嬉しかったよ」
嬉しそうに自分を見上げる李鵜琵を連れて臣は部屋に戻っていった。
「……自由、ねぇ。うちの子には…ちょっと、優しくし過ぎかな…」
―その様子を見つめる影があった。