黒兎

□奇襲
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ドゴォォォォン



突然大きな音が立ち船内が傾く。


「おっと…。何だ?」


阿状兎も立ち上がり周りを見渡す。

「!」


伊坐薙は何か悪い予感でも当たったかのようにその音の方角へと走り出す。

阿状兎もそれに続いた。




「この方向には何がある?」


走りながら阿状兎に問う。


「確かこの方向には動力源と輸送船があるはずだが…。
まさか…!」

「いや、動力源はまだ大丈夫だ。船はまだ正常に動いてる。
他には?」

「他?」

「じゃあ捕虜は何処に捕まえてるんだ?」

「捕虜?そんなのとってたのか。
あるとすれば輸送船じゃないか?運び出しやすいだろうし。」


「…チィ。やっぱりか…。厄介だな。」


目の前に破壊された壁が見えてきた。

それは外からの攻撃ではなく、内側の壁のみが壊されている。



「阿状兎…ついて来てもらった所悪いが、動力源が壊される前に陸に着陸するように操作室に伝えてくれ。」

「それは構わないが、下にもし敵が攻めて来てたら…?」

「もしじゃなくても来てるよ、恐らくな。
それでもだ。つっこんでも構わない。
そのあとは好きにしていい。」


「はぁ…仕方ない。此処は任せるよ。」


そう言って伊坐薙と阿状兎は二手に別れた。

廊下には伊坐薙一人の影がが残る。


「さっきの戦闘で船内の兵がだいぶ減ってるな。
…まぁ減らしたのは俺だけど。」


腰に下げている傘に手を回す。


ようやくアホ司令官がてこずる訳がわかった。


「捕虜が戦艦の破壊……。」


そんなこと聞いたことがない。

誰も予測がつかず、これだけ掻き乱される訳だ。



目の前の土煙りが晴れ銀色が目に飛び込む。伊坐薙はそれを冷たく睨んだ。



「見つけた…。」



「見つけた?見つかったの間違いじゃないのか?白夜叉のお兄さん。」

「別に間違っちゃいねぇよ。」


「…なるほど。俺の足止めに来たか。」


伊坐薙足を踏み込み、銀時に向かって傘を奮う。
銀時はそれを刀で受け止めた。



「足止めになるかどうか…やってみようじゃねぇか!」




 
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