無題
□学校そして
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7月。梅雨がようやく開け、夏休みがやって来るのを待つ、じめじめワクワクする時期。この時期皆様なら何を考えるだろうか。
夏休みの計画?宿題の心配?楽しみなことはいくらでもこの先に待ち構えているだろう。
しかし。忘れてはいないだろうか。
夏休みが迫る。
すなわちそれは…
「嘘だろ…」
学期末テスト到来を意味する。
目の前には廊下に張り出された名前の羅列。中間テストの順位表である。そしてその最後尾にあるのが『佐伯 晃太』間違いない。俺の名前だ。
「なぜだ!ちゃんと勉強したのに!一夜漬けまでして教科書丸暗記したのに!」
そう。一年前。つまり一年生でのテストで、高校のテストの難しさを嫌と言うほど思い知らされた俺は、同じ失敗を繰り返さない為に一カ月前から準備していたのだ。しかも、仕上げに昨晩は徹夜。ここまでして何故最下位なんだ!納得できない!
「それが原因じゃないの?」
「何!」
一緒に結果を見に来た俺の相棒、中崎裕に指摘され、テストの日を思い返す。
確かあの日は半分解いて…
あれ?どうしたんだっけ?えーと…
寝て…
「…。」
「ったぁーー!!!」
頭を抱え空…じゃなくて天井に叫ぶ。
「……いや、ちょっと待て。確かに今回のテストは散々だったが赤点は3個しかとってなかったはず…。」
「それだけ取ってる時点でアウトじゃないの?」
「くっ…。」
余裕の裕に少しの苛立ちを感じる。ここでふと脳裏によぎる。負けているのはわかっている。しかし!それでも!他の科目で何か買ってる科目あるんじゃないか?
「お前何位?」
遠まわしにテストの順位を尋ねてみる。
裕はいつもの無表情。しかし指をみっつ、俺の目の前に立てた
「3。」
「……いやいや……まっさかー。いくら市立高校でもひと学年に何人生徒が居るとおもってんだよー。そんな非現実的な数字あり得ないってー。あはははは」
「…。」
「何黙ってんだ?」
「…。」
「………マジなの?」
「ここで嘘つく意味無いでしょ。」
「な…!」
何かが崩れる音が聞こえた。それはきっと、勝利の二文字だ。
廊下の遥か反対側。その上から三番目を見る。『中崎 裕 799点』間違いない。俺の隣に居るコイツの名前だ。
「799!?」
ちなみに全部で英語・英語コミュニケーション・数学T・数学U・理科・日本史・国語・古文の8科目。合計800点満点。それで799?いやいやありえない。どんな脳内してんだ。それでも3位って、じゃあ上の二人は満点?
「その1点はたしか……漢字間違いだったかな?」
「…。」
ぽかんと口が開く。
「くそう!」
もはや勝負することすらおこがましいほど惨敗だった。