黒兎
□出発
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「…妙だ。」
現在、地球へ向かう第七師団の所有する船の操縦室で、伊坐薙はある思いに耽けていた。
「妙って何が?」
隣で独り言を聞いていた阿状兎は伊坐薙に問う。
「神威のことだよ。今更だけどおかしいと思わないか?
今回の仕事は戦争を終わらせること。間違いなく行き先は戦場だ。
どう考えてもアイツの喜びそうな内容だろ。
なのにアイツは行かないと言った。それも即答で。
絶対おかしい。
何考えてんだ?アイツ。」
一通り考えていた内容を阿状兎長々と伝えると軽く背伸びをして短い溜息を付いた。
そして出発するときの神威の様子を思い出す。