黒星の小説とか。

□Don't love me! ――ただし兄のみ――
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家に帰るということは変態に遭遇することとイコールである。

「おかえり。すぐにご飯にするか? それとも風呂にでも入るか? まぁ勿論そんなことよりも――」

「ワタシゴハンガイイ」

「いやいや、そんなことよりも――」

「ゴハンガイイ」

「そうか……」

玄関で迎えてくれた兄は、颯爽と変なことを言ってくださった。あぁもう死にたい。

「今日のご飯はミートソーススパゲティだ。ほかにもシーザーサラダもあるから、しっかり食べるようにな。
 この兄の妹のための愛情がたっぷり詰まっているんだ。残すなよ?」

「ありがたく受け取っておくね。兄妹として」

やはり兄は変態という点を除けば天才で完璧である。

兄が作る料理は、一度プロの料理評論家を唸らせたことがあるほど絶品で、盛り付けも綺麗だからよけい食が進む。

しかし、兄は総カロリー摂取量まで計算に入れて料理しているので、かなりの量を食べてもそうそう太らない。

「兄さんって、料理修行とかしてたっけ?」

「なんだ、聞くにしては今更だな。いや、やっと僕に興味を持ってくれたのか!?
 ……こほん。質問の答えはノーだな。僕に妹をおいて修行に行くなんて酷いことはできない」

「兄妹として興味はあるよ、兄妹として。
 じゃあなんでこんなにも料理が上手いの?」

「最愛の妹のための努力」

「凄いね、最愛の妹という単語が努力という単語を打ち消しちゃってるよ」

つるつる。できたての美味しそうなスパゲティを啜る。うん、やっぱり美味しい。

「さて、兄はどうにかして近親間での結婚を容認するように国に申請したいのだが、どうしても幾つかの障害にぶつかるんだ。なにかいい知恵を貸してくれないか?」

この兄はいったい国になんてことで勝負してるんだろう。

「いくら計算しても成功する確率が低くなる……。
 せめて八割は欲しいところなんだが、どうしても四割に届かないんだ」

「三割も可能性があるの!? それに私はビックリだよ!?」

十回チャレンジして三回も成功する可能性があるのなら、この兄はやりかねない。

「近親相姦や近親結婚が何故禁忌として扱われているのかがわからない。
 確かに産まれてくる子には様々な障害が立ちはばかるだろうが、それを乗り越えることができれば強い子に育ってくれるはずだ。
 ところで、子供は何人ほしい? 僕的には何人いてもかまわないぞ。一般的には男女共にひとりずつだが、もっとほしいと望むのならばこの兄はいくらでもハッスルす――」

「ご、ごちそうさまっ!」

だ、駄目だ……! このままだとこの兄は際限なく言い寄ってきて、最後には無理矢理ベットインだ……!
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