黒星の小説とか。
□Don't love me! ――ただし兄のみ――
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私が通う学校には、兄の通う大学を受験する先輩や同輩、後輩がたくさんいたりする。
何故かはわからない。でも実際、兄が大学に入って数々のよい成績を築き上げて、大学の知名度が上がって入学希望者が増えたというのは、間違いではないと私は思う。
私の周りの友人にも数十人ほど、兄が目当てで大学を目指す人もいるくらいだ。
「なんらかのコネクションが欲しいのはわかるけど、私を通して兄に近づこうとか考えないでほしいな……」
事実、私の女友達は二人を除いてほぼ全員が兄目当てで私と友人になりやがった人である。
「なんだ、友人関係についての悩みか? なんなら僕が相談に乗るが」
「ありがと。でもいいよ、私事だし」
「そうか、わかった。
……しかし、自分でどうにもできそうもなかったら、すぐに言うんだぞ?」
「うん。ありがとね、兄さん」
……こうやって外に出ている時の兄さんは確かにかっこいい。
私が悩んでいることをちゃんと見つけて相談に乗ってくれるし、なにより一番いい解決方法をどんなことよりも先に考えてアドバイスしてくれる。
だから、外での兄は大好きだ。勿論、ラブじゃないけど。
「お、あれはお前の友人じゃないのか?」
「え? あ、ホントだ」
「一緒に乗せてやってもいいが、この時間でここなら余裕で学校に着くはずだ。
どうする、乗ってくか?」
家での兄もここまで謙虚なら嬉しいんだけど。
「じゃあ、一緒に歩いてくよ。兄さんに頼りっぱなしも嫌だし」
「ここまで送ってもらっておいてよく言えたものだ。
気をつけて行ってくるんだぞ?」
「えへへ、行ってきます!」
兄の車を元気よくでた後、車に乗ってて少し追い越してしまった友人を待つ。
「おはよ、茶子ちゃん」
「おっはよー! もしかしてさっきの車、兎ちゃんのお兄さんの!?」
「うん、そうだよ。ちょっと朝から色々と大変でさ、兄さんに送ってもらったんだ」
この元気な子が、兄を目当てとしていない友人の一人の天ヶ崎茶子(あまがさき ちゃこ)ちゃん。
天真爛漫を絵に描いたような子で、いつだって明るく接してくれるいい子。
本人は子供っぽいのが嫌いなそうで、小柄な体型も可愛らしい童顔もコンプレックスになってるらしいけど、正直言って羨ましいぐらいだ。
ちなみに兎ちゃんというのは私のあだ名で、茶子ちゃんが命名したものである。
というか、私は兎じゃなくて、追いかけて穴に落ちる方なんだけど。
それに、兎さんは小さい頃に私が兄につけたあだ名じゃないか。
「だけど凄いよねー、あのお兄さん」
「へ? 何が?」
「いやいや、成績は首席だし、スポーツ万能だし、あそこまでできた兄はそうそういないよねー、ってさ」
この子は真実を知らない。
「あ、そうだ。お兄さんの名前って何だっけ?」
「もう、いい加減覚えてよ……」
兄の名前は――