ユンジェ

□Coquettish tone
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―バタン



ほんのちょっと、興奮してたから力が入りすぎたみたいで思いっきり扉を閉めてしまった。




「あれ?今扉の音したよね?」


「誰か帰ってきたのか?」


「けど玄関の扉じゃなかったような…」


「そーだなー誰だあ?」



って会話と近づいてくる足音が聞こえるけど、
何故か僕の足は動いてくれなかった。



―カチャ



「…ジュンス?何してんだ?」


「あ、ユノヒョンただいまー…ちょ、ちょっと眩暈がしてさ…」



苦しい言い訳…



「ジュンちゃん?大丈夫?!」



ジェジュンヒョンが血相変えてこちらに走って来てくれる。
その顔は、もういつものジェジュンヒョンで…



「だ、大丈夫だよジェジュンヒョン。ちょっとサッカーしすぎたかなぁーはは…」


「スポーツ貧血?!」



何かよくわかんないけどそんなのあるの?
じゃあそれで!



「そっ、そうかなー」



なんて適当な返事にも…




「ジュンちゃん、ご飯は?」


「え、まだだけど…」


「ちょっと待ってて!」



凄く真剣に心配してくれてる。



「えっと…レバー、しじみ…ほうれん草!パセリ…うーん…もやし!」



ブツブツ言いながらメモ帳になんだか沢山殴り書きしている。



「ジュンちゃん待ってて!貧血に効くご飯作るから!
ユノ!買い物よろしく。」


ハイっとメモを渡されたユノヒョンは『ハイハイ』と車のキーを手に取った。



「ジュンス?辛いなら座ってろよ?じゃ、行ってくる!」



そして颯爽と買い物に出かけた。



「ホラ、ジュンちゃんは座ってて!」



そんな貧血くらいで大げさなって言いそうになったけど、
絶対怒られるから止めとこう。



…こうしてると、ホント頼りになる東方の母…なんだけどな…。




「はあい!」



素直にソファに腰掛けると、フワリと先ほどユノヒョンに見せたのではない…
けれど自愛と優しさに満ちた笑顔のジェジュンヒョンと目が合った。






不思議とさっきまでの寂しい思いや複雑な気持ちはもう、感じなかった。












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