短編
□☆林檎と俺
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蒸し暑い空気の中、目の前には青空が澄み渡っていた。
、思えば、
残像が脳内を巡る。
大将の態度に耐え切れなくなった奴ともみ合った時、目を見開いて浴びせられた。
「お前に何が分かる!?
努力してもしても、勝てないこの気持ちをお前はどのくらい知ってるってんだ!」
名誉欲、ねぇ。
俺にもあるけどさぁ。
いつから感じ出したんだか。
シャリリ、林檎をかじる。
また、残像が脳内を巡る。
金がなくて、畑から林檎を盗んで食ったっけ。
変わらねぇなぁ、この味。
目の前には、青空が澄み渡っていた。
どこに行っちまうのかねぇ、俺達は。
ゆっくり立ち上がると、森で見えなかった空の端から雲が覗く。
芯だけになった林檎へ、降り出した日の光が反射していた。