楽園〜ユートピア〜

□楽園を求めて
2ページ/4ページ

―――――――――――
ガチャッ。

「ただいま」
ツアルは玄関のドアを開けて家の中に入った。

「あっ、お帰り兄さん」

そう言ってツアルを出迎えたのは、スイル・リシュー。ツアルの弟だ。
重い心臓病を患っている。

「スイル。動き回るなんて危ないだろう。寝て安静にしてないと」

ツアルはスイルの頭を撫でながら言う。

「大丈夫だよ。今日は調子がいいんだ」

そう言ってスイルは笑う。

「…そっか。でも、無理はするなよ」

大丈夫であるはずがない。手術をしなければならない程、病気が悪化しているのだから…。ツアルはそう思いつつ、学校鞄を下ろす。

「うん。わかってる、無理はしない。…ツアル兄さん、今日も探索に行くの

スイルが心配そうに言った。

「いや。明日、計画を立ててからだ。」

ツアルは答える。

「そっか。何処に行く予定なの

「……サラヒミダ遺跡。本当は他言禁止なんだ。会長達には秘密だぞ」

悪戯っ子の様にツアルが笑う。
「うん。リリカさん達には言わないよ」

スイルも笑って答える。

「今日は、検査の日だったよな父さん達は

ツアルはそう言いいながら制服を着替える。
二人の両親は警察官だ。

「急な仕事が入ったんだって」
「そっか。いつもの事ながら、忙しいそうだなぁ」

「そうだね」

ツアルは着替え終わると、

「行くか」

と言い、スイルを連れ、家を出た。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ