私の全てをあなた達に捧ぐ

□過去
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私は親に捨てられた。
それは私が五歳な時に起こった人生で最初の大きな出来事。
不思議と私は冷静だった。
まだ五歳の子供。
泣き叫んで母を呼ぶことが普通である筈なのに、私はそれをしなかった。
母が私を捨てた理由もわかっていた。
金銭的に子供を育てることが困難だったのだ。それに、母は私の事を娘だとは思っていなかった。
だから、別に恨んでもいなかった。
恨む理由だってなかった。
私は歩き出した。
立ち止まったままでいるわけにはいかなかったから。
今まで滅多に家から出たことなどなく、どうしたらいいかなどわからなかったが、私は歩いた。
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