終わらない物語

□始まりの章
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『前略

親愛なるキサラ・ウルフガン様

この度、貴女が我がアイルネスト修学院への入学資格を取得されましたことを、これにてご報告させていただきます。
つきましては、同封しております入学届けに必要事項をご記入の上、学院までご返送ください。
保護者の許可印は必須でございます。
入学を希望されない方はご返送いただかなくとも結構です。
又、学院生活をおくるにあたって必要になる物のリスト、説明事項も同封しておりますので、各自で買い揃えて頂くようにお願い申し上げます。入学式でお会いできることを心より楽しみにしております。

アイルネスト修学院 学院長      ビーンズ・ニャールナティア』

柄一つない白い便箋に綴られた言葉。
自然と緩む頬。
この手紙が届くことをどれほど待ち望んだことか。
しかし、心にある感情は『喜び』ではなかった。
言い表すならば『安堵』。
この手紙を理由に家を出て、もうこの家の迷惑にならなくてもよくなるという事に対する安堵だった。
横になっていたベッドから身を起こし、立ち上がると机の上に置いてある写真立が視界に入ってきた。
写真立てから目を引き剥がし、唇を噛み、手紙を握り締め部屋を出た。
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