VOiCE
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『大好き!!』
彩夜の声が耳に響く。
それは自分に向けられた無垢な瞳だった。
『霜志?』
彩夜に全てを隠すことができるなら、ずっと隠してやりたい。
けど、それは…俺たちにとっても彩夜にとってもいいことでない事くらい知ってる。
だから、俺は彩夜や他の軽音部の背中を押す事しかできない。
『霜志?』
秋風「彩夜…大事な話があるんだ」
『何?みんなもどうしたの?』
これから酷な事が起きようが…。
俺は彩夜の側にいる。
軽音部の側にいる。
秋風「テニス部の合宿に参加する・・・」
それが地獄になることがわかっている。
なのに、自ら この手を選んだのは言うまでもない。彩夜のため。
そして、俺たちのため。
『そっか…。決めたんだ…』
千夜「彩夜!?」
泣きはらした顔をした千夜が彩夜に近づいた。そして、しゃがみこんで彩夜に「いいの?」と顔を見上げた。
『だって霜志が一番辛い…』
千夜「でも、私達がアイツ等に何されたか覚えているでしょ!!私も彩夜も霜志も夏華も菜綺紗も朔音も!!それに雪夜(ゆきよ)だって!!」
『雪ちゃん…それでも、私達は前に進んでいかなくちゃならない時が来る。今がその時なんじゃないかな?千夜』
千夜「ずるい。ずるいよ…雪ちゃんとの約束…まるまる言うなんて」
『だって私だもん』
霜志「よし、決まったな」
『霜志はいいの?』
霜志「俺はいいよ」
『そっか、じゃあ…約束ね』
彩夜の差し出した手に自分の手を触れさせる。
彩夜にすがるように自分の身体に腕に彩夜を抱きしめた。
『よしよし…』
夏華「どこが大丈夫なんですか…」
霜志「すまん…」
菜綺紗「まあ、今は誰もいないですからね」