華が舞い散るまで2
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「起きたみたいやな…彩夜」
『…』
目が覚めたのは、病院のベッド。一番に見たのは馬鹿兄貴。
顔は涙で濡れていた。
この馬鹿兄貴のせいで、私はこんな事をされている。
なんで 此処にいるのが馬鹿兄貴なんだろう。
なんで 蓮二じゃないの?
「彩夜、少し休憩しましょう。大阪じゃなくても良いから」
『何かあった?』
母の顔は悲しそうにほほえんでいた。
それだけで 自分の事だと理解した。
新聞を見せてもらうと、私は小さく震えた。
ある少女、心配されたくて屋敷に防火
ある学校の生徒がそれを発見し、警察に届け出る
彼女のせいで、他の学校の生徒が軽傷
『…れ…』
涙は溢れるばかりで収まらない。
馬鹿兄貴に抱き締められた。
「大丈夫やから、俺が守ったるから」
その勘違いな発言に私はキレるまで時間がかからなかった。
此処にいるのが蓮二じゃない。
『アンタのせいじゃんか!!全部全部、アンタのせい!!何が“守る”の!?何が大切なの!!全部、アンタがアイツ等に“妹”って説明しておけばこんな事にはならなかったの!!アンタが居るから私の人生がむちゃくちゃになった!!』
「…彩夜…」
兄貴の悲しそうな顔。それでも私は止めない。止まらなかった。
『私が名門校に通ってるのがそんなに気にくわない?私が自由にしているのが気にくわない?』
「ユウジ、出て行きなさい」
ユウジ「あかん、彩夜は俺が」
『出てけ。出てってよ。兄貴の顔なんか見たくない!!』