華が舞い散るまで
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なんで…
なんで…
幸村「雫…」
崩れていく…
妹の姿に幸村は支えるように立った。
部屋に居られなくなって、彩夜から背を向けた。
部屋の外に来たのは、彩夜の兄、光以外の四天宝寺。
小春「ユウ君…」
ユウジ「悪…」
小春「ええよ…」
雫「なんで…」
杏が不動峰のメンバーと一緒に現れた。
タイミングが良すぎるのは、柳の裏…だろうか…。
杏「彩夜は?」
神尾「中で笑って…」
杏「…ふ〜ん…」
雫「なんで!?」
杏「…雫…貴女は何が分かる?」
雫「異常」
杏「かもしれない…。でも、彩夜の傍にいれば、その感覚は薄れていく…自分達も異常になるよ」
雫「杏も?」
杏「不動峰も…」
雫「なんで…」
ユウジ「…記事…彩夜に記事、見せたん誰や…誰が、あの記事を見せたん!?なあ、お前等…そんなに俺達家族を壊したいんか!?…なんで…妹って信じてくれんの…」
兄、ユウジの目には涙が滲んだ。
怒鳴っても何も状況は変わらない。
異常と正常。
二つに分かれていた。
杏「記事を見せたのは、跡部さん達。私たちじゃないです」
ユウジ「あかん…あかん…彩夜が死んだら…今度こそ…」
身体が勝手に震える。誰もユウジを支えることはできない。
彩夜の一番近くに居て、兄妹として過ごしてきた思いがあふれていく…。
杏「大丈夫ですよ。彩夜は死にません」
ユウジ「…そんなん…」
杏「だって、現に生きているじゃないですか。例え、火の中、水の中、彩夜は必ず生還しますよ」