華が舞い散るまで
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仁王「のぉ、一氏」
『何でしょう』
始めの罵倒や暴行から2ヶ月が経った。
中には諦めた者も居たが、こうしてやってくる人物達もまだ居る。
それでも彩夜は自分の芯を曲げず、生徒会長もマネージャーもやっていた。
仁王「なんでそんなに曲げんのじゃ?」
それを応える義務は何処にもない。
今の今まで、此処にいる仁王雅治に罵倒も暴行もされていた。
横たわった自分の身体を起こせば、右腕には包帯。
血が滲み出している。
身体中の痣を柳は知っている。
けれど二人は別れる事はしなかった。
『柳先輩ですか?』
仁王「その他に何があるんじゃ」
『マネージャーと生徒会長』
仁王「俺は仲間を守るぜよ。立海の参謀に変な噂がつきまとう事になるのは避けたいからの」
『私が別れると言うと、柳先輩は学校に来なくなりますよ?』
仁王「どんだけ自身があるんじゃ…」
『自信、そんな一言で抑えられたくはありませんけど…』
仁王「…」
『人の恋路を邪魔すると、いつか自分に降りかかってきますよ?』
仁王「お前さん、ホントに口が減らんのじゃな」
『寧ろ、減ってしまうのは勿体なくないですか?』
仁王「過去は話さんのにか?」
『過去なんて…副会長になった理由にもなりませんよ?立海に来た理由にもね…』
仁王「…」
『逃げて来た訳でもありませんからね。私は…確かに逃げ出された事もありますし、これだけ親元を離れて生活している人間は少ない。過去に何があっても…人を好きになってはいけないんですか?』
仁王「参謀…」
『仁王先輩は知らないと思いますが、柳先輩の独占欲と嫉妬心はアナタや赤目が私にぶつけていた時より酷いんですよ。それが苦だと思ったことは一度しかない』
仁王「見えんな。お前さんのが独占欲が強い」
『どこが?』