Gift

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ガッシャーン

ギルド内に何かが壊れた様な大きな音が響き渡る
原因は言わずもがな

ナツとグレイ。
新入りこそ驚くものの、ギルドの古株や入ってからある程度経って居る者達はもう慣れた物だ。



「今日こそてめぇと決着つけてやる、変態氷ッ」

また何か壊れる音がして、直ぐにナツの叫び声が聞こえた

「おお、上等じゃねぇか。
かかって来いよ、クソ炎」

そんなやり取りをしながらも2人の間は物が飛び交い大乱闘

ついには両手を合わせ、それぞれに赤と青の魔方陣が浮かび上がった。


「火竜の…鉄拳」

「アイスメイク…突撃槍(ランス)」

互いの魔法が交わり、砕ける。
そう思ったが…違った

2人は気づいていないがグレイの放った無数の槍の内の一つが偶々軌道を逸らし、近くのテーブルに座っていたエルザのショートケーキへ直撃。


エルザのショートケーキは床へと落っこちて見るも無残な姿へと変貌していた。

ナツとグレイは後ろへ迫る悪魔…いや鬼に気付かずに顔を突き合わせ言い合いをして居る。


「貴様らぁ」

ゆらりと動く影にやっと気づいた2人だが、恐怖で動く事が出来ず。

「なんて事をしてくれたんだぁーーー!!」

エルザは殴るだけ殴ってショートケーキをもう一度買いに行ってしまったが、ゴチーンとそれはそれは凄まじい音がしてナツとグレイは前へと倒れ込んだ。


向かい合ったままで

幸か不幸か身長差があるため額や鼻をぶつける事は無かった。
しかし倒れ込んだナツの唇が奇跡的にグレイの唇へとぶつかる、グレイがナツを抱きとめて衝撃を和らげたものの、当たってしまったのは避けようがない。



皆は驚きながらも2人が何かしら叫ぶだろうと覚悟していたのだが…


「…」

「…」





…無言で頬どころか耳まで真っ赤にする2人




お前ら初々しいカップルか

皆の心の声が一つになった瞬間だった

その後無言でナツがギルドを出て行き、グレイはカウンターに座り放心状態へ陥っていた。
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