乱闘

□青、蒼、あお。
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「ねぇ、僕、どうしたらいい?」


1人の青が膝を抱えて俯く。
その瞳は悲しい色。



俺は…俺はどうしたらいい?

青と違う緑。
1人、仲間外れ。








明朝。
俺の部屋の戸を叩く者がいた。
悲しみの色を浮かべた青だ。


入っていいかな?と俯く青。
俺はすぐに自室に招いた。




俺は1人部屋。
だから何したって怒られない、上級の部屋。





カチャカチャと音をたてるティーカップ。
こぼれないように細心の注意をはらって。

なにか辛いこと、あったのか?
……つらいこと、あった。

静かに呟く。

その声さえもかき消してしまいそうな木製の揺れる椅子。
マルスみたいな王子さまには似合わない、椅子。
悲しげに音をたてる。
すごく、うるさい。


「どうした、なにがあった」


熱々のティーカップをマルスの手のひらにのせる。
小さな手に包み込まれたそれは、今にもこぼれてしまいそうな、薄茶色の液体。



「…僕、蒼が怖いんだ」


ティーカップの水面に映る、顔。

蒼…
彼のことだろうか。


「蒼を見るたび、あおと書かれた字を見るたび、青い海を見るたび、悲しくなる」


カップがカチャン、ぶつかる軽い音






「…まぁ、飲めよ」

リンクがカップを指差す。


アンティークなカップに注がれた紅茶の湯気が青に吸い込まれていく。








「…僕ね、心が痛い」







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