乱闘

□君の上の名前
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実際に呼ばれていた名前。
こっちに来て、以前のあっちにいた時の記憶があったとしても、上の名前までは覚えていなかった。
そして、マスターから与えられたのは、下の名前だけ。
みんなも同じだ。
みんな…上の名前がない。
ある人はあるが、俺や、マルスや、リンク、ピットなどの上の名前がないのだ。

「…やっぱさぁ、気になるよね。自分の上の名前。」

ギシギシとソファーの上で揺れながら、青い瞳はつぶやいた。

「そうだな」
自分のも気になるけど、本当は……
あんたの上の名前が気になる、だなんて。


でも、どこかで聞いたことがある、あんたの名前。
その上の名前は……なんだっけ。
忘れてしまった。
「……」
しばしの間、俺は黙り込んだ。
それもこれも、マルスの上の名前を思い出すため。
俯いたアイクの目線の先は…ソファーに。


ソファーの端に投げ捨てられていた本は窓の外から吹きわたる風によってペラペラと数ページめくられている。
その本の中身には、アリティア王国のことに関する内容と、その王子の名前が記載されているとは、誰も目に留めることはなかった。


end


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