その他

□短編集T
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【浮気×××】ナツグレ


拳を握って
机を足場にして飛んだ

向かってくる無数の氷の玉をよけて手に炎を宿す
グレイの懐に潜って冷たい手に炎を押し当てた

「………くっ」

苦しげな表情をするグレイを横目に顎に向かってアッパースイングをかました…はずだった


「ちっ」


全力で宿した右手の炎を氷魔法で凍らせられて身動きができず舌打ちした

「残念だったな」

嫌みったらしそうに言い放つグレイにむかついた

負けじと片方の手にもう一度炎を纏わせようとしたらマフラーを目一杯引っ張られて炎が溶けていった


「…………」

じっと穴が開くほど見つめてくるグレイの顔を蹴っ飛ばしたくなって睨み返す
鋭い睨みにグレイは口を開いた


「……もう浮気はなし、な」

ナツは一瞬キョトンと首を傾げた

しかし徐々に、グレイがどのことを指しているのか思い当たって俺は複雑そうな表情を浮かべて静かに呟いてみた


「…悪かったよ、グレイ」


俯きながらも、徐々に唇が歪んでいくのが見えてナツはしまったと後悔した

あたふたして、どうすりゃいいんだと必死にグレイにほんと悪かったって何回も頭を下げた
けど体をわなわなと震わせていて頭が悪い俺は、人目をはばからずに興奮しているグレイの手を握った

「……」

黙っているが
氷を帯びて冷たかった手の平が徐々に暖かくなっていくのと同じ顔を見つめたら、やっぱグレイとじゃなきゃだめだなと思った








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