その他

□お互いを見つめ合う
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12月31日。
一年の終わりを告げる除夜の鐘。
分刻みに打たれるそれは、一年間にあった出来事を思い出される。懐かしくもあり、悲しくもあった。

あぁ、もう一年が終わるのか。
意識の向こうでぼんやりと考える。
普段なら、ギルドのみんなとバカみたく騒ぐ時間なのに、体中がこんなにも火照ってる。
汗が背中を伝って、バカみたいに喘いでる。

男の匂いが部屋に充満して、黒色の髪を弄ぶ。
黒がやめろ、くすぐったいと愚痴を零す。愚痴のはずなのに、それさえも気持ちが高ぶってくるのは何故だろう。


「なぁ、もっと擦って」


与えられる快楽に負けないでよ。
そっちばかり気持ちよくならないでよ。


「わるぃ…」


「くっ…」


急に重くなる快感。
やっぱりグレイにされるのは気持ちいい。グレイの赤い顔を見て、奉仕されて、こんなの堪んない。


もうすぐ今年が終わるってのに、なにしてんだろう、俺達。

ぼんやりの頭でも理解できることは、ただただお互いのモノを貪っているということ。

グレイが俺のに
俺がグレイのに

もっと
もっと。

最初のきっかけはなんだったか。
あぁ、そうだ
年越すまでに相手をイかせられたら飯一年分奢ってやるっていう約束を交わしたんだった。

そういうことになって、さっそくお互いのズボンを脱がせあいっこしたんだ。

グレイのは俺よりデカくて、デカいなと思わず零したら、やめろよ とにわかにそれが上を向いた気がした。

それを見て俺も上を向いた。


それからはお互いのが見えるようにして座ってお互いの手が届くところまで距離を詰めた。

そこからはそれを各々の考えで擦り、たまに強弱をつけては、くわえ込んで、先端に爪をたてること30分。


まだ誰もイってない。
そう容易くはないらしい。


…忘れていた。つい夢中になってもっと触ってくるよう、促してしまった。だから俺のほうは結構っ…限、界。

「うっ…んンっ」

もう限界なのに、グレイは容赦なく股の間に顔を埋めてくる。

湿ってる舌先がなんども先っぽを往復して、もっと辛くなった。
眉間に皺が寄る。
額から流れる汗がうっとうしい。

「あっ!…あぁっ」

もう限界だと、次に来る解放感を待って強く目を瞑った。


「………?」


途端、激しかった刺激がやんだ。
他の方法でやってくるのかと、構えて待ってもなにもなかった。

先程まで追い詰められていた熱が奥に引っ込んでいって気持ち悪い感覚に襲われる。

おそるおそる目を開けると、グレイが下を俯いている。
泣いているのかと、体を揺すぶってみても、声をかけても返事がない。

「……っ」

気怠げに顔を上げる。
浅い呼吸をしながら、ゆるゆると目が開かれた。
熱っぽい瞳に涙目の顔を見て、体中の熱が再び中心に集まっていった。


「…ナツ、やばい。お前の顔、そそられる」

いきそうなのか。


そう問いかけるより先に体が動いた。

「やっやめろ……ナ、ツン!」

やめろというその口を塞いで、声にならなかった言葉を口内で潰す。

「んンっくっ…」

壁に手をついてグレイを追い詰め、もう片手でグレイのを上下に擦る。
だんだんと天井を向いてゆく先端に爪をたて、弄んだ。

それを弄るたび、伸ばされていたグレイの足がバタバタと激しく暴れる。
暴れ馬の如く動くそれを俺はその足の上に乗って馬を乗りこなす。
できるだけ無駄なスタミナの消費は避けたいからだ。

「お、い…趣旨がンっ違って…ないか?」
離した唇から透明の筋が伸びてゆく。
よく見るとグレイは涙を流していた。

「趣旨ってなんだよ、うめぇのか?」

「…さっきまでやっていたことと違う。…だいたいっ男にキスすんなぁっ」

「なんでだよ。こうゆう生理現象はよくて、キスはだめなのか?」

真っ赤になった頬に伝う雫を、舌で舐めとる。
なんだかしょっぱい味がした。

「俺達はホモじゃねぇんだ!それ以上の関係なんて望んでない」

「でも、おれはグレイが好きだ。」


手を取って黒い瞳を見つめる。
一瞬、目が揺れた。


「好きになっちまったんなら、その好きな奴とキスしたくなるのも生理現象だろ?
だから…いいよな?」

グレイは股にあたってくる違和感に顔を青ざめた。
つかみかかってくる手を上に纏めて、優しく押し倒す。

「あけましておめでとう…ぐれい」


年越しと共に甘い声が部屋中に響いた。




勝者はナツ。


おわり


___________________

↓おまけ↓

「……最悪だ」

「あけましておめでとう!グレイ」

にひっと清々しく笑ってみせる桜色に、グレイは目眩がした。

「俺が勝ったから、飯一年分なっ」

「…もしかしてそれ目当てで俺のこと好きだとか言って身体も繋いできたのか?」

「え?バレた?」

テへっと舌を出して頭をコツンと叩く。
いや別に舌出しても可愛くねぇーし。

「…お前っ……!」

「でも可愛いかったぜ。俺の下でアンアン言ってるお前」

呑気なその口に枕を全力で投げつける。
いってぇとか言ってるけど知るもんか。

「今度はゼッテェお前を犯すっ!」

「やれるもんならやってみろぉ」


おれはさらに枕を叩きつけた。


END


当サイトの年越し企画用に使われた小説です。
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楽しく年を越そうぜ!跡地



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