その他
□「前向きになれば前向きな未来が描けるんだよ」J8
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「………っ?!」
ジャックが驚いたような声をあげる。
かまわず俺は無駄にでかい背中に回した腕に力を込める。
「…俺も強くならなくちゃな」
ひ弱で小さかったあのチョコボは、生きようとする心は誰よりも強かった。
自分の足で地に立ち、どんなに転げても決してあきらめず、踏ん張った。
一番弱かったのは、一番強かったチョコボのほうだった。
みんなが悲しまないように笑う。
これがジャックの生き方。
「なに?抱きしめてくれるの?うれしいな〜」
ジャックも俺の背に手を回す。
背が違う分、俺の頭に顎を乗せてくる。
「なぁ、ジャック…」
「ん〜?」
「お前がみんなの幸せのために笑うのなら、今度は俺が、お前が辛くならないように笑ってやる。だから、嘘笑いは、するな」
背に回した腕を緩め、ジャックの顔を見上げて、誰よりも強いその瞳を見つめる。
ジャックは驚きに目を丸め、次には笑顔が返ってくる。
「もしかしてぇ、それはエイトからのプロポーズとして受け取っていいの?」
「ああ、構わないよ」
「本当にぃ〜?!」
コロコロと変わる笑顔。
これはきっと本当の笑みだ。
「やったぁ。エイトからのプロポーズっ」
嬉しそうに頬を両手で覆って、その場で少し飛び跳ねた。
覆った頬は赤かった。
「よし、帰るぞ。」
テラスを降り、魔法陣へと足を向ける。
「え〜、怒られに行くのぉ?」
「当たり前。一緒なら、怖くないだろ?」
「うんっ、そうだねっ!行こっ」
にぱっと効果音がつくくらいの笑顔で俺の後を追い、手を繋いできた。
0組の教室まで、ジャックは俺の手を離さなかった。
end
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