その他
□「前向きになれば前向きな未来が描けるんだよ」J8
2ページ/4ページ
「エイト、な〜に一人でたそがれちゃってるの?」
「ジャック…。てことはサボったのか。」
エイトの目の前ににひょっこりと顔を出すジャック。相変わらず呑気そうな顔につられて、笑みがこぼれる。
「なに。たそがれてるの?」
ジャックのおちゃらけた笑みが、エイトの黒い部分を溶かしていく。
「別に。なんだかバカらしくなってきた」
「話が見えないんだけど?」
「気にするな」
そういうと、そっか〜と高いトーンと笑みで返してくる。
それだけ。
なにも聞いてこない。
「なにも聞かないのか?」
右横にいる金髪を見つめる。
この髪色、髪質、どっかで似たようなのを見たことがある気がする。
「人には言いたくないことだってあるでしょ?だから聞かない」
またニコニコ。
本当によく分からない奴。
「優しいんだな」
「優しくなんかないよ。僕はエイトに笑っていて欲しいだけ」
「ふーん」
「なあ、なんでお前はずっと笑っていられるんだ?」
「笑ってれば、みんなも笑うから」
ふと、ジャックの顔色が変わった。
笑顔も、なんだか気にかかる。
どうかしたのか、と心配の色を見せると、俺の頬を、そのしっかりした指で触れてきた。
金髪の髪色が太陽に照らされて、黄金に見える。青い空の色がジャックの瞳に映しこまれてスカイブルーがちらつく。
ずっと見てると、その瞳に吸い込まれそうになる。
そうだ。思い出した。チョコボだ。
エースが必死になって育ててたチョコボに似ている。
とても弱っちくて、どの兄弟よりも小さかった、あのチョコボ。
可哀想で、抱きしめてあげたくなるくらい。
手を伸ばす。黄金の色へ。
ジャックが顔をうつむき、伸ばした手は空ぶる。
「笑っていてほしいんだ。笑顔で。暗い感じは嫌いなんだ。辛い顔は嫌いなんだ。真剣に悩む顔も嫌いなんだ。後悔する顔も嫌い。笑ってほしい。それだけが僕の願い。」
手首を掴まれる。少しだけ痛い。
力が強い。
「ジャック…」
「だから安心してるんだ。死んだ人たちの思い出を忘れること。みんな、泣かないでしょ?笑っていられる。僕達の隊長だった“クラサメ”って人のことも。多分一番の親しい人だった気がする。でも、忘れられる。だから…」
掴まれた手が徐々に緩む。
「ジャ、ック…」
「うれしいの」
.